出版社内容情報
90年代東京、沈没家族という共同保育の試みがあった。大人になった僕は、かつての保育人たちに出会いなおしていく。家族をめぐる、ちょっと変わった旅の記録。
内容説明
90年代の東京、シングルマザーの加納穂子さんは共同で保育をはじめた。大人になった僕は、かつての保育人たちに出会いなおしていく。家族をめぐる、ちょっと変わった旅の記録。
目次
はじめに 一五年ぶりの答えあわせ
第1章 沈没家族(土=8カ月~2歳半)
第2章 加納家のこと(土=誕生前)
第3章 土の発生(土=0カ月~8カ月)
第4章 戦友、めぐ(土=2歳半~8歳)
第5章 八丈島(土=8歳~18歳)
第6章 父・山くん(土=腹の出た20代)
第7章 保育人たち(土=子どもから大人へ)
第8章 劇場公開(土=監督になる)
第9章 人間解放(土=これから)
著者等紹介
加納土[カノウツチ]
1994年、鎌倉生まれ。現在は都内近郊に住む。2015年から卒業制作として『沈没家族』の撮影を開始、完成した作品は2017年のPFFで審査員特別賞を受賞した。大学卒業後、「劇場版」公開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
58
【誰かが傍にいてくれたら、子どもは大体ちゃんと育つ】90年代の東京。シングルマザー・穂子さんは、チラシで「あなたも、一緒に子育てしませんか?」と呼び掛けた。共同保育という人体実験の当事者による、家族をめぐる旅の記録。本書の題名は、<街で見かけたチラシに「男が働きに出て、女は家を守るという価値観が薄れている。離婚する夫婦も増えて、家族の絆も弱まっている。このままだと日本は沈没する」ということが書いてあった。それに腹を立てた大人たちが>、それなら私たちは沈没家族だと笑い飛ばしたことから。懐かしく実に面白い!⇒2023/11/15
Comit
56
市立図書~『あなたも一緒に子育てしませんか?』1歳になる息子を共同で育ててくれる保育人を募集したシングルマザー。賛同した10人の若者達に育てられたのが、この本の著者。大学の卒業研究で母と自分を題材に映画を製作することを決め、育ててくれた人達に会い、当時を振り返るドキュメンタリー作品。著者が物心つく頃には、いつも誰かが居た。境遇は違えど、誰もが“居場所”を探してる。かたちで表せない家族もある。そして世の中、なんとかなる(笑)~映画のPVを観ましたが、本編気になる(*´艸`)挿入歌も歌詞がいい♪2021/05/04
きいみ
24
「あなたも一緒に子育てしませんか?」 生後8ヶ月の子供「土」と暮らす穂子さん。日中は働き夜は専門学校に通うシングルマザー。息子を一緒に育ててくれる人を募集し「沈没家族」という名の共同保育を始める。 何とパワフルで大胆な…と思いながらも先が気になり頁をめくる手が止まらない。 たくさんの大人に囲まれて育った「土」が大人になり当時の保育ノートを元に映画を作り本書を執筆。 家族の形も育児もさまざま。 シングルマザーを救ったのは義務でも契約でもなく、来たい人が来るというゆるい繋がりのこれも1つの家族なのかな。2021/05/24
まさこ
13
すごいな。誰かいてくれれば子どもは育つ。90年代の中央線沿線のアングラっぽい空気。夫婦屋上ボクシングで顔腫れるって!70年代っぽい人間臭さでも反体制とも違う。共同保育だけど生協のような健全さではなく、酒とタバコとツマミが床に散乱しててもいい感じ、鎌倉では無理だなー。穂子さんの現在の島での活動…やはり一貫してます。フェリーで土が引き返すシーンがいいな。結局親譲りとも言えるけど、孤高の穂子さんがここまで思うように実践するのは、社会学を論じる母親に何かを感じてでしょうね。上野センセは上映会後の何て言ったのかな。2021/01/31
ちい
9
子育てって「ねばならぬ」のオンパレードだ。当事者の数だけ「ねばならぬ」がある。そしてその言葉に縛られる。中でも、自分のそれが最も厄介で、自身を追い詰め、やがて息ができなくなる◆「沈没家族」では、母親である穂子さん自身が早くからそれに気づき、手放した◆どんな環境での子育てでもいいと思う。生命の危険がなくて、何となく誰かがそばにいれば。親がいつも楽しそうにしてると、やっぱり子供は嬉しいよね。2021/01/10
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