出版社内容情報
日本文化が激しく変容した70年代、ポルノ女優第1号誕生の瞬間に立ち会い、B級低俗映画の烙印をおされながらも、映像美を確立した鈴木則文の果敢なる戦い!
内容説明
ポルノ!コメディ!アクション!1970年代を駆け抜けたB級娯楽映画の熱き舞台裏!
目次
前編 京都ポルノ戦線(十六歳の妖婦『温泉みみず芸者』;ポルノ繚乱の季節『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』;巴里から来た映画女優『現代ポルノ伝 先天性淫婦』 ほか)
後編 帝都進攻作戦(東京流れ者『聖獣学園』;美少女拳士志穂美悦子『女必殺拳』シリーズ『少林寺拳法』『華麗なる追跡』;漫画原作をストレートに「実写再現」しようとする男の深層について『ドカベン』 ほか)
エピローグ(我が“大いなる助走”『文学賞殺人事件 大いなる助走』;人物走馬灯)
著者等紹介
鈴木則文[スズキノリブミ]
1933年静岡県生まれ。立命館大学在学中、アルバイトで東映京都撮影所に入り、大学を中退し撮影所のスタッフとなる。1965年には『大阪ど根性物語 どえらい奴』で監督デビューを果たす。漫画原作の映画化やアイドル映画、アクション映画、大型時代劇など、ヒットメーカーとして活躍をつづけ、東宝、にっかつ、松竹、独立プロでも作品を撮っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
30
本書は私のようなマニア向けです。監督である著者が一番熱かった時代の回顧録で、特に東映ポルノの一時代を築いた池玲子と杉本美樹を皮切りにして、後半はJACと組んだ作品を解説しています。JACとは何ぞや?という方にハードルが高いかもしれません。往年の名優や過去になった俳優の名が続々流れます。その中でも黒崎輝との再会に手を叩きました。東映の70年代初期から80年代中期までを読んだ事により、私のマニア度は手が付けられないレベルに上がりました。芸能に興味がある方には貴重な資料と思われます。2014/04/16
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
28
今年の5月に亡くなった『トラック野郎』シリーズの映画監督・鈴木則文の回顧録。亡くなった時に雑誌で話題にされているのを見て、その記憶でたまたま手に取った。私はほとんど映画を見ない。この鈴木監督のトラック野郎も一本も見た事がない。巻末の作品リストの中で唯一見た事があるのは『パンツの穴』だけだった(恥)。リストを見てもどれもくだらない映画ばかりだとしか思えない。なのにこの本は面白かった!やはり芸能の裏側ドキュメントというのは面白い。娯楽を作るというのは何て素晴らしい仕事なのだろう。読んで良かった。2014/06/22
vaudou
8
まさにゲリラ日程、ゲリラ撮影!在りし日の東映ポルノ映画にまつわる逸話の数々は、天尾完治らの全身全霊を創作に傾ける男達と、観客を蠱惑する色香をスクリーンに振り撒くポルノ女優達が織りなすタペストリーである。「ポルノ」という言葉が当時16歳の池玲子と共に世に広まるやりとりの軽さ。「仁義なき戦い」撮影前夜の川谷拓三と志賀勝が参加した「エロ将軍と二十一人の妾」での無法地帯感。その場の勢いで作家や文士の面々を出演させる要領。と、どの話も東映の伝説を補強する佳話ばかり。サンドラ・ジュリアンはホント可愛いなー。2014/08/10
midnightbluesky
5
文章はテンポ良いが、気がつくと脱線気味になっていたりして、あれ?という感じ。でもネタ満載だから、アリなんだ。2015/02/01
刷子筆男
5
『トラック野郎風雲録』に続き、まさかの鈴木則文監督回顧録・第二弾。『ちくま』連載中から目が離せなかったが、まとまると本当にビックリする、すげぇ現場記録である。かつての東映B級映画が、今のダメ邦画と決定的に違うのは、作っている側が「本気で頭のいい人」と「職人ども」と「ガチ俳優」なことであり、そういう人らが快作、怪作、エロを乱発してれば、いいモノにならないはずがない。現に、監督の映画は今でも普通に見られる状態にあり、面白い。天尾Pと「ポルノ女優」という言葉を発明し、世に知らしめた、奇跡の人の記録に刮目せよ。2013/12/01