出版社内容情報
一発屋以前の芸人・根尾。ものまねが縁で声のかかった声優の道を進むのか?元相方とまだ夢を追い続けるのか?若者たちの思いと諦めたものの思いが交錯する物語。
内容説明
売れないピン芸人・根尾の元に大御所声優・田代から人気アニメの声を継いで欲しいというオファーが舞い込む。俳優の夢を諦めて声優として上り詰めた田代に声優一筋になれと言われ続けるが、根尾は芸人として売れたいという夢を捨てきれない。そしてホストとなった元相方もまたコンビ再結成を願っているのだった。元相方のネタにダメ出しをしながら、芸人魂を密かに燃やしていく…。夢を追う若者たちの思いと諦めたものの思いが交錯する物語。最後に何を選ぶのか?
著者等紹介
渡辺剛太[ワタナベゴウタ]
1980年東京生まれ。横浜国立大学卒業。元お笑いコンビ「レム色」(2003~08年活動)。回文ネタでM‐1グランプリ準決勝まで進んだことも。元スポーツ新聞記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
40
売れないピン芸人根尾が、持ちネタにしている「タイムトラベラー遼」の声優田代から後継者に育てたいとの声がかかる。しかも住み込みをしながら修行。最初からなんとなく不穏な空気が感じられて、読むのをやめようかとも思い、他の方の感想を読んでみて、どうにか読めそうと判断して読み切りました。お酒に飲まれてしまう人の恐ろしさと、それでもやめられない不可解さ。根尾のお笑い芸人への執着の凄さが際立つが、小泉君にやってしまったことは消えない。田代、小泉、根尾の関係はハッピーエンドのようですが、私はモヤモヤが消えないまま読了。2021/10/19
kou
22
元芸人が書いただけあって、お笑いに対する想い等にリアルさを感じた。ちょっと予想していた展開とは違っていたが面白かった。2021/08/21
きたさん
14
なんとなくの思惑はわかるものの、着地点の予想が全くつかなくて、読んでいる最中は不思議な不安定さを常に感じていました。結末がやや唐突に感じられたこともあって、その不安定さが「わかりづらかった」という感想に繋がってしまったのかもしれません。2021/07/06
nori_sugida
8
売れない芸人のお話。 さすが、元芸人だけあってすごくリアルな感じがする。 美味しい話が舞い込んでも最後まで拘るあたり矜持ではないが、芸人魂みたいなものを感じる。 成功するお話か、と思いきやサスペンス。 声優のキャラ引き継ぎの依頼をした俳優の態度に違和感を感じるが、物まね芸人が本当にそのキャラの声優になった例もあり、信じ込んでしまった。 ミステリーにありがちな姓が違う親子・・・・・そういうことだったのか。 それぞれが再び動き出す。 これでよかったのか。2021/07/09
カラシニコフ
2
回文ネタで一時期話題となったコンビ、レム色の渡辺さんが書いたデビュー作。回文はもちろんのこと、一時期スポーツ記者(主に野球)をしていて、芸人時代を含め、その経験が盛り込まれていて良かった。そして、まさかの伏線回収!あらゆる出来事や人物を上手く組み込み描いていて、カタルシスを覚えました。あと、会話が漫才みたいな感じで素晴らしかったです。2022/10/09