感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nonpono
75
なんてシンプルな言葉でなんて余韻に浸れるのだろう。佐野洋子のイラストが味がある。才能と才能の饗宴。見事に世界を構築していく。「きみとともだちになんかなりたくない ぼくはただきみがすきなだけだ」(「きみ」)。あの人にいつか贈りたい。「ぼくのこころにはあながあいていて のぞいてもくもったよぞらしかみえない」(「ひみつ」)、完璧を求め迷走していた自分に贈りたかった。そして、「ひゃくねんたったらみんないなくなる」(「でんしゃ」)、そう思えば曇った視界も晴れていくのではないか。何度も味わいたくなる珠のような詩集。2025/08/14
ケイ
51
谷川さんの詩を読むと、子供用の絵本ですらこみ上げてくる時がある。この詩集は、子供を想って書かれただろうが大人にこそ響く。書かれたのは息子さんがまだ小さい頃だろうか。佐野洋子さんの絵がまた圧倒的に良い。「がっこう」の燃え上がる様子に息をのむ。 「さようなら」ぼくはもういかなきゃなんない… おかあさんごめんなさい おとうさんにやさしくしてあげて…。 「とおく」しらないうちにわたしはおばあさんになるのかしら…そのときひとりでいいからすきなひとがいるといいな…どうしてもわすれられないおもいでがあるといいな。2014/03/13
ほのぼの
46
1988年に野間児童文芸賞を受賞した詩集。佐野洋子さんの挿絵も見たくて図書館で借りてきた。布貼り表紙の豪華な装幀。サック箱も付いているらしい。見た目は子ども向きでは無いなぁと感じた。まるで『〇〇文学全集』みたいな外見だもの。しかし、もし自分が子どもの時、こんな大人びた詩集をもらったら、すごく嬉しかったに違いない、とも思う。詩は全てひらがな。生・老・死・愛…等を子ども目線で易しい言葉で、しかもシビアに表現している。挿絵がなぜかエロチックでドキッとする。2025/02/23
寛生
34
【図書館】谷川の「はだか」はNudityかNakednessか?その「はだか」には、こどもでしか認識できない「死」がこそに現れているようにも感じる。混沌と黒々とした不安な感情。こんなにもヴォルナブルであったのかと自分の「こども」が谷川によって再び生き返り、胸がはち切れんばかりに苦しくなる。自認しようー谷川の詩を読むのは〈怖い〉。それは谷川の詩が僕のすべてを見通しているかのような気がするから。谷川の詩は「深層意識への道」なのかもしれない。ヴォルナブルになれない自分をヴォルナブルにさせ、涙を流すことを許す。2014/02/18
sin
29
はだかは たんじょう しじんは しを くりかえし かたりかける。 僕はこの詩を いつどこで もう一度 読んでみようか? はるにうみのそばで なつにやまのなかで ふたり あきのこうえんで ひとり ふゆのせつげんで 僕は声に出して そらのかなたに かたりかける。2013/05/14




