内容説明
座右の書、作家道、芸人魂、恥かしがり方、熱狂の冷まし方、愛され方、自己演出法、妻のあり方、読書でイク法、小説の書き方、読者の選び方。たとえ反面教師であれ、ぜんぶ彼が教えてくれた!12人の現代女性が読む新しいダザイ。
目次
他人のフリして我がフリ治せ―「グッド・バイ」ほか(佐藤江梨子)
嘘だから―「駈込み訴え」(山崎ナオコーラ)
皮膚と心とサザエと、この世界―「皮膚と心」(西加奈子)
マヌケな響きと「戦争」―「トカトントン」(雨宮処凛)
遍歴の向こうの景色―「富嶽百景」(津村記久子)
愛され太宰の一生―「人間失格」ほか(辛酸なめ子)
冷たい人なのに、好きになってしまう―「人間失格」ほか(香山リカ)
入り込み、入り込まれることの恍惚と動揺―「女生徒」(平安寿子)
サバイブする妻たち―「ヴィヨンの妻」「おさん」(井上荒野)
「津軽」無事へのまなざし―「津軽」ほか(中沢けい)
男と女は変わらない―「千代女」ほか(太田治子)
草葉の陰でそっと泣け―「眉山」(高田里惠子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lonesome
58
女性から見た太宰治の魅力、作品から受け取るもの。なるほど確かに異性だからこそ感じる男のセクシーさやズルさ、または守ってやりたいという母性愛を太宰治に対して感じたりする作品の読み方もあるのだ。けれど、どっぷり太宰治に、もしくは太宰の描く作中の女性に自分を重ねて読むというより客観的に読んだ時に見えてくる太宰治の女性に対しての見方や感情を想像するととても興味深い。そして、太田治子さんの言葉には重みがあった。2014/09/30
harass
55
2009年に太宰生誕100年記念(もうそんな時代というのに驚く)の12人の女性によるエッセイ集。彼の作品の魅力や反発などさまざま。それぞれの分量も多くなく軽く読める。なかなか面白い。太宰の実の娘、太田治子の文章などもある。太宰自身が小説の弟子でもあった大田静子、治子の母にしたアドバイスによると、『小説はね、男と女をいれかわりしても、思いをこめるのがいい。男の気持ちは、そのまま女の気持ちになる』「太宰に女の心がわかるのは、男としての自分のこころがよくわかっていたからだと思います。」2017/03/14
ヒロミ
54
豪華執筆陣による女目線で読む太宰。実の娘・太田治子さんの文章はやっぱりドスがきいている。格と深みが違う感じです。サトエリの続・グッドバイはあなたなんて大それたことを…と。辛酸なめ子さんの文章がいちばん面白かった。爆笑した。ホスト風葉蔵モテテクニック。平安寿子さんの文章がちょっと気持ち悪い…。30分くらいで読める軽い読み物といった感じです。西加奈子さんも参加されてます。2015/12/30
今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
44
2009年、太宰治生誕100年のとしに出た企画本。あの太宰ブームにはいろいろ本が出たが、これは代表的なものではなかろうか。『女が読む太宰治』というお題を出された執筆陣がどんな内容を書くか?。多少大喜利的な好奇心で読んだ。サトエリは凝っているし、香山リカは精神科医らしい。辛酸なめ子は相変わらずの芸風。単なる作品論みたいな人もいる。面白かったのは山崎ナオコーラ、西加奈子(太宰への愛がある)、平安寿子。太宰の娘・太田治子も登場。そしてシメの高田里恵子『草葉の陰でそっと泣け』が題名も内容も見事である。2014/08/18
ann
33
女性作家の太宰治へのそれぞれの思いが綴られていた。「千代女」は好きな短編だから背景が見えてよかった。2016/02/08