出版社内容情報
犯罪とは何か、なぜ刑が科されるのか。ひいては、人間とは何か、責任とは何か?――刑罰とは究極の「問い」である。早稲田大学名誉教授が教える刑法学入門。
内容説明
「主文 被告人を懲役10年に処する」―。その根拠を考えてみたことはあるだろうか?犯罪とは何か、なぜ刑が科されるのか。制裁としての刑罰はどうあるべきか。「刑法学」の考え方を丁寧に解説する。
目次
第1章 刑法学の世界(なぜルールが存在するのか;刑罰は何を目的としているのか;量刑に至る「長く曲がりくねった道」)
第2章 犯罪論の世界(犯罪とはどのような行為なのか;犯罪の成立はどのように判断するのか;犯罪の要件を吟味する;「わざと」と「うっかり」;犯罪が未完成のとき;犯罪に複数の者が関与するとき;犯罪が犯罪ではなくなるとき;犯罪の数の数え方)
第3章 処遇論の世界(刑法が前提にしている人間像;犯罪者の処遇を考える)
第4章 量刑論の世界(刑をどの程度に科すのかという問題;量刑は具体的にどのように判断するのか)
第5章 刑法学の新しい世界(「犯罪と刑罰」の新しい考え方;「責任」の新しい考え方;刑法学も変わっていく)
著者等紹介
高橋則夫[タカハシノリオ]
1951年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。早稲田大学法学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授。法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けぴ
43
現在は「罪刑法定主義」であり「犯罪と刑罰は行為の前にあらかじめ法律によって定められていなければならない」という原則に基づいている。端的には「法律なければ犯罪なし、法律なければ刑罰なし」。近代以前は「罪刑専断主義」であり、犯罪と刑罰が時の権力者によって恣意的に決定されていた。日本は欧米諸国と比較すると刑罰の軽重に幅が大きい方であるとのこと。昨今の犯罪は、この法律を掻い潜るような物が多く、真の悪人を取り締まるのには不十分な点もあると感じた。著者の早稲田大学での最終講義をもとにして書かれた一冊でなかなかの好著。2024/11/04
よっち
33
犯罪とは何か、なぜ刑が科されるのか。制裁としての刑罰はどうあるべきか。刑罰の根拠を考えながら刑法学の考え方を解説する1冊。なぜルールが存在するのか、刑法によって何が守られているのか。刑罰には法定刑、処断刑、宣告刑という3つの段階があって、犯罪の成立や要件、未完成の時、複数のものが関与する時、正当防衛や緊急避難、被害者の同意、責任能力といった諸要素によって刑をどのように課すのかが決まるわけですが、それに被告人側や被害者の事情を踏まえた量刑があって、何のための刑罰なのかという部分はいろいろ考えさせられました。2024/05/07
ま
26
時間がなく拾い読みになってしまったが良書。拘禁刑の創設(=懲役刑と禁錮刑の区別がなくなる)によって刑の内容が問い直されている。すなわち、従来の懲役刑における「拘置」「作業」「指導」のうち後2者は刑なのか処遇なのか。2024/12/10
奏市
13
タイトルにはややそぐわないような刑法学全般の内容。(量刑の話は一部)大学時代を懐かしく思い返しつつ読んだ。国家による加害者への制裁の意味合いから、被害者・コミュニティの害の回復を重要視する新しい志向は今後どうなっていくのか見ていきたい。常々の疑問点→「被害者(遺族)の感情は、少なくとも一般情状として考慮されることになるでしょう。もっとも、被害者(遺族)の被害感情・処罰感情を量刑上の一資料とする場合、これらの感情の有無や強弱、被害者が死亡した場合の遺族の有無によって刑が異なっていいのかが問題になるでしょう」2024/07/17
てくてく
8
プリマ―新書であることを意識して、かなりかみ砕きつつも、「3日でわかる~」といった類の実用書とも異なって学問世界への誘いも考えているだろうなという印象を受けた刑法入門書。タイトルからは量刑論、刑罰論に特化した印象を受けるが、刑罰論の他、犯罪論や処遇論もあり、入門本として良書だと思った。2024/10/14
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