出版社内容情報
過剰に叩かれる宗教団体、危機を煽るメディア、ネットの炎上……集団は強い絆と同調圧力を生み、時に暴走する。そこで流されないためにはどうすればいいのか。
内容説明
過剰に叩かれる宗教、ナチスのホロコースト、危機をあおるメディア、ネットの炎上…。集団は強い絆と同調圧力を生み、時に暴走する。そこで立ち止まって「おかしい」と言えるだろうか?
目次
第1章 なぜ空気を読むのだろう(人間は群れる生きものだ;あなたはずっと集団化の時代に生きている ほか)
第2章 集団の中で流されること(集団は危険な意思決定をすることがある;敵が現れたとき私たちは集団化する ほか)
第3章 ネット社会が持っている危険性(マスメディアが新聞とラジオだった時代;都合の悪いことは言い換える ほか)
第4章 集団に巻き込まれない生き方(集団に埋没せずに個を持ち続けられるだろうか;組織の歯車として多くの人を殺害 ほか)
著者等紹介
森達也[モリタツヤ]
映画監督・作家・明治大学特任教授。98年、オウム真理教のドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞・市民賞を受賞。11年に『A3』が講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちえ
38
集団は強い絆でプラスにも働くが同調圧力を生む。集団で議論や合議を行う時に不合理で危険な決定をなされることが容易にある。メディアは真実だけを伝えているのではなく、そこにはフレームがかかっているし、国がメディアを利用したり、営利のためにメディアが一方的な情報に偏った歴史もあった。印象的なのは著者の大学の授業で一人の中国人留学生が伝えたいと許可を得て語った内容。ウランバートルでの式典後のフリータイムでの両国の学生の違い。過去へ対しての日本の視点と外国の視点の違い。集団に帰属しながら一人称単数の主語を保つこと。2023/06/10
Yutaka Matsuzawa
15
メディアリテラシーの本。メディアにどうすり込まれるかで個人では善良だった人が集団では残虐になってしまったりする。事象をどう解釈するかで見えかたは違ってくるし、もしメディアが間違った方向に進んだら最悪の場合日本人が過去に起こした戦争や虐殺を繰り返してしまうかもしれない。主語が我々や私たちの時は疑え。歴史に学べ。何事も自分の頭で考えよう。2023/06/18
imagine
10
いつもブレずに大事なことを繰り返し伝えている森達也氏。日本の社会がよりいっそう集団化、均一化している現在、その主張はますます価値が高まるばかりである。本来ならば社会が成熟し、著者が新たなテーマや問題提起で新境地を提示した作品に触れたい。だが、個人は集団に埋没し、メディアは産官の広報と成り果ててしまった現在、今までにも増して従来の主張を声高に叫ばなければいけない状況となっているのがもどかしい。読み手のこちらも今まで通り、日々の生活の中で一人称単数の主語で思考し、言葉を発し続けてゆこう。2023/05/04
紫の煙
9
青少年向けに書かれた本だが、若者はテレビを見ず、勿論新聞も読まない。入ってくる情報は、SNSだから、自分向けにカスタマイズされたものばかりだ。当然視野は狭くなるだろう。心配だ。教育とメディアは大事だと思う。2023/11/14
NBかえる同盟
7
定期的に森達也を。特に真新しい内容でもないのだろうが、「記憶」のために。群れるのは面倒だが、誰かに決めてもらうのは、楽だしなあ。まずは世界がもっと豊かで優しいものに見えるように、もう少し気合い入れよう。2023/05/05