出版社内容情報
どんな人にもトラウマはある。まずはそのいたみを自覚し、こじらせてしまわないことが肝要だ。トラウマのメカニズムや和らげる術を豊富な事例から紹介する。
内容説明
どんな人にもトラウマはある。まずはそのいたみを自覚し、こじらせないことが肝要だ。明日も無事に生き延びるため、トラウマのメカニズムやいたみに向き合いながら和らげる術を豊富な事例から紹介する。
目次
第1章 トラウマ反応で起きること
第2章 トラウマとは何か―そのメカニズム
第3章 トラウマ反応という心の働き
第4章 トラウマと向き合う―トラウマに苦しんでいるあなたに
第5章 からだを通して、トラウマを癒す
第6章 僕の「旅」治療
第7章 安全感・安心感を提供する―周囲の人にできること
最終章 ヒロシマ―僕のトラウマから、僕らのトラウマへ
おわりに―過酷な体験を共有すること
著者等紹介
青木省三[アオキショウゾウ]
1952年広島市生まれ。岡山大学医学部卒業。川崎医科大学精神科学教室主任教授を経て、現在、公益財団法人慈圭会精神医学研究所所長。川崎医科大学名誉教授。臨床精神医学、特に精神療法、思春期青年期を専門としている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
morinokazedayori
25
★★★★著者は精神科医。とても優しく易しい言葉で、トラウマとその癒しかたについて書かれている。トラウマについてもっと深い構造的なことが知りたくなったが、読み進めるうち、日々の小さな、周りの人との積み重ねこそがトラウマを癒してくれることに気付き、満たされた気分になる。2021/05/19
tenori
21
トラウマと呼ばれる心の傷についてメカニズム、向き合い方、周囲の支援策などを簡潔に集約。「心の傷から流れ出す血は目に見えない」だけに対処は難しい。癒しと言う単語の乱発を批判しつつも、日々いたみを自覚しながら、こじらせることなく生きること(癒しの意味)を説く。一方で自らの過酷な体験を周囲に伝えることが抑止力を生むきっかけになり、話すことでトラウマを解放できる可能性についても言及。個人のトラウマの伝承がヒトの歴史を作ってきた=多くのいたみの上に今が成り立っていると考えると感慨深い。2020/05/15
ハイちん
16
トラウマを克服するというのは最近の僕のテーマだ。人間関係がうまくいかなかった経験からか、仕事をしていると、その頃の記憶が蘇り、職場の人間どもに対する不信感や激しい怒りが湧き出ていた。良好な人間関係を築くどころか仕事にならなかった。結局仕事を辞めた。退職後は自分はまともな人間関係を築けない社会不適合者だと自分を責めた。そんな中、職業相談の先生と出会い、何度も通ううちに仕事をしたいと思うようになった。だからこの本に書かれている「トラウマは外部との関係で癒える」という助言は実感として理解できる。2021/10/30
riviere(りびえーる)
16
新刊の新書版なので手に取った。思春期青年期をとりわけ得意とする精神科医による、若かりし頃の著者の体験も描かれている心暖かい一冊。バリバリの専門家向けというよりは本人や家族、そして生活場所や地域で支援する人向けの印象。熱く語りかけてくる人でもなく、ドライでもなく、「しつこくない暖かさ、押しつけがましくない、ほんのりとした暖かさ」で支援を、という表現には同感。2020/05/31
色々甚平
10
序章にも書かれているが、トラウマを思い出しやすい状態にあると一章のトラウマについてを読んでいると噴き上がってきてしまうかもしれない。なので、4章の「向き合う」あたりから読むほうが良い。カウンセリングでの回復例をいくつも載せられている。また自身の体験談もあるので一読したら読み飛ばしていても気になると思う。プリマー新書なので、全編読みやすく、優しい文章を心掛けられていると感じた。この本で向き合えるかはわからないが、他の人の経験や、自分に向けて一つでも対処法を知ることができる。2023/03/05