出版社内容情報
科学は万能ではなく、限界があると知っておくことが重要だ。科学・技術の考え方・進め方には一般的な法則がある。それを体得するためのヒントが詰まった1冊。
内容説明
科学・技術に立脚した文明社会を生きる私たちは、日頃から科学的な見方・考え方を鍛えておくことが大切です。情報を鵜呑みにせず、個人の感情や経験を交えずに、様々な側面から物事を見る、科学的な考え方を身につけよう。
目次
第1章 科学するってどんなこと?
第2章 科学でどんなことがわかってきたの?
第3章 科学的な考え方とは
第4章 科学の二面性
第5章 二種類の科学:単純系と複雑系
第6章 科学する君たちへ
著者等紹介
池内了[イケウチサトル]
1944年兵庫県生まれ。天文学者、宇宙物理学者。京都大学大学院理学研究科物理学第二専攻博士課程単位取得満期退学。理学博士。名古屋大学名誉教授。総合研究大学院大学名誉教授。『お父さんが話してくれた宇宙の歴史 全4冊』で産経児童出版文化賞JR賞、日本科学読物賞を、『科学の考え方・学び方』で講談社出版文化賞科学出版賞(現・講談社科学出版賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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future4227
45
2021年中学・高校入試での頻出本。私たちの生活は多くの科学技術に囲まれながらも、科学に対してあまりにも無頓着であることに気付かされる。筆者は「お任せ民主主義」と呼び警鐘を鳴らす。難しいことは専門家に任せ、素直に従っていれば間違いないだろうと、自分で考えることをしなくなっている。一人一人が見識や判断力を養い、私情を挟まず議論や分析を行うことこそ、科学的であるという。原子炉やGPS、インターネット、ドローンなど科学技術の多くが軍事兵器開発からの転用というのは残念だが、どう使うかは我々人間にかかっているのだ。2021/12/17
tamami
15
中学・高校の若者を対象に、今、そして未来に科学を学ぶ意味やそれに際しての心構えを述べる。地球温暖化について1章を割き、地球規模での現象や生物学的指標をもとに、温暖化に向かう地球と将来への影響の大きさを記す事例は具体的で興味深い。科学の持つ正と負の二面性、単純系と複雑系など、科学に関わる基本的な見方を明確に述べる一方、現代科学と関わりが深い国の原子力政策、科学の軍事的利用などについては、著者自身の考え方を「科学的」に正しいとする観があり、著者の説く多面的な見方が大切であるという記述からは?と思わされた。2020/05/19
さとうしん
9
「科学」という言葉の由来、科学的な発想とは、環境問題、軍事利用の問題、科学・技術と経済性、科学者としての倫理など、まさになぜ科学を学ぶのかという根本に立ち返った内容となっている。軍事開発された技術の民生利用について、「戦争は発明の母」というのはどこまで本当か?と、その実態にツッコミを入れているのは面白い。2019/10/17
kei-zu
7
「科学的」とは何か。その沿革から始まり、実践の手法とその表裏の危険性、複雑系への理解の必要性などをわかりやすく説明。 何より必要なのは、自分で考えること。 狂牛病への対応についても記述あり、「コロナ時代」の今に読みたい。2020/07/19
大先生
7
読むと「ミニ科学者」になれる一冊です。と言っても、「科学する」人間としての科学者が持つべき基本的な知識を得て、一般人よりは「科学のいま」について詳しく知っているという意味ですが(笑)科学的な考え方(感情を交えない、経験を絶対視しない、鵜呑みにしない、不愉快でも事実を受け入れる、科学的知識量ではない)は、科学に限らず、日常生活を送る上でも重要かと思います。自分にとって都合の悪い事実はなかったことにする人って科学者に限らず、世の中至るところに沢山いますよね。(苦笑)第二章は読んでてワクワクしますよ。2020/06/29