内容説明
私たちがスマホで写真を撮ったりSNSにつぶやいたりするように、古代人は、歌を使って日々の出来事や自分の思いを表現しました。日本最古の歌集の成り立ち、時代の出来事、言葉、人物、場所について、親しみやすい超訳とともに解説します。
目次
第1章 『万葉集』って、何ですか?(新元号「令和」に込められた思い;『万葉集』の成り立ち ほか)
第2章 『万葉集』の出来事(夏に、鰻を食べる;少数派の意見を堂々と述べる ほか)
第3章 『万葉集』のことばに学ぶ(ありがとう;無常を知る ほか)
第4章 『万葉集』の場所と人(大和の都;明日香の山々と額田王 ほか)
著者等紹介
上野誠[ウエノマコト]
1960年、福岡県生まれ。國學院大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。博士(文学)。現在、奈良大学文学部国文学科教授。研究テーマは万葉挽歌の史的研究、万葉文化論。日本民俗学会研究奨励賞、上代文学会賞、角川財団学芸賞、立命館白川静記念東洋文字文化賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
119
他館の本を取り寄せて読んだ。 言の葉の庭に万葉集の歌が出てくるのですね。初っ端から未知の万葉集トリビアが飛び出してきました。 令和ということで皇室の話や季節の風物詩、旅の風景と題材が豊富なようで中には昔教科書で出会った(それだけ有名な歌と思われる)作品も紹介されましたが大伴旅人の薩摩の瀬戸の歌が妙に印象に残った。薩摩の瀬戸に吉野の激流を思い出させるように私も学生時代琵琶湖に瀬戸内海を思い出していました。2021/04/19
モリー
69
上野先生のような先生に国語を教わりたかった。自分が良い学生でなかった事を棚に上げて言うのですが、国語に関しては学生時代に良い先生に巡り合えませんでした。試験で良い成績を取るためでなく、良い言葉を使えるようになるために上野先生に私淑することになりそうです。2023/01/08
なつきネコ@人間に化けてます
42
レポート資料として読んだ。とりあえず読みやすい。入門の資料としては最適。万葉集への愛も、日本への愛が伝わった。はじめに韓国で講義した時に人が殺到した原因が、新海誠の「言の葉の庭」から、韓国での日本アニメ人気がわかる。鰻を食べる和歌、少数派の意見の和歌や、他者をいたわる和歌、星を詠う和歌、本当に日本らしさと古代の素の感情が見れていいな。さやけしの東日本大震災のエピも立派だな。花冷えの季語と意味を知っていても本当に知っているのは別に言葉として使えて初めて本当の言葉を知っている。なるほどこれが語彙力なんだな。2024/07/30
ポテンヒット
12
奈良が好きでよく行くので万葉集は気になっていた。上野先生の本なら入りやすそうと思い、手に取る。万葉集は、私たちが写真やSNSで出来事や思いを発信するのと同じ表現手段だという。この時代は天然痘が流行ったり、白村江の戦いがあったり不安定な時期だった。いつの世もその時代に生きる人はそれぞれ大変で、それでも歌で感情を伝えていると知ると、万葉集の入り口が広がった。学生向けに書かれていて読みやすい。2023/04/22
ふくしんづけ
12
言葉が代わるものない記憶の媒体であった時代。〈鳴る神の しましとよもし さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ〉(作者不記載歌 巻十一の二五一三)〈君が行く 海辺の宿に 霧立たば 我が立ち嘆く 息と知りませ〉(作者不記載歌 巻十五の三五八〇)今は言葉が荒れているけれども、怒濤を丹念に、次から次へ揺さぶられ、乱れることの連続だとわかっていて尚、均そうとし続けることにも、意義があると思いたい。や、ほんと手応えもなく、途方のない作業。2023/03/08
-
- 和書
- 自己形成史分析入門