出版社内容情報
「国家とは暴力を組織化する運動体」という概念を起点に、存立機序から国民国家の成立、資本主義との関係まで論じ切った記念碑的論考解説 大竹弘二
内容説明
国家とはなにか、国家が存在しているとはどういうことか。こうした根本問題を透徹した思考で解き明かす。まず、国家を存立させ、その諸活動を生み出している根本要因とは何かが考察され、暴力をめぐる運動の中にそれがあることが見極められる。その上で、その根本要因からいかなる歴史的条件の下で現在のような国家のあり方が生み出されていったのかが論じられる。主権とはなにか、国民国家はいかにして形成されたのか、国家と資本主義はどのような関係にあるのか。こうした問題を一貫した視座から論じ切った記念碑的論考。
目次
第1章 国家の概念規定
第2章 暴力の組織化
第3章 富の我有化と暴力
第4章 方法的考察
第5章 主権の成立
第6章 国民国家の形成とナショナリズム
第7章 国家と資本主義
著者等紹介
萱野稔人[カヤノトシヒト]
1970年生まれ。津田塾大学総合政策学部教授。哲学者。早稲田大学卒業後に渡仏し、2003年、パリ第10大学大学院哲学研究科博士課程を修了(博士・哲学)。専門は政治哲学、社会理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
3
ドゥルーズ=ガタリの税や資本主義と国家のずれの議論に2005年に見てたの早いなとか。大竹氏の解説がよかった。暴力から国家を見る視点はダールと共通し、権利保障のリベラリズム的な国家理解と対立するとか。あとアレントの暴力(=道具)と権力(=合意の可能性)の区別の批判、権力による強制なき相互了解としての政治空間批判が眼目で、萱野氏の立場は力一元論だとか。踏み込みがもう一つ欲しいなと思ったのは、暴力の定義は行政と司法の一体性を想定してる気がしたけどうまくいくかなとか、自分が国家側に立ってるの想定されてないなとか。2023/11/25
kentaro mori
2
はじまりの一冊。本書→酒井隆史『暴力の哲学』→酒井隆史『自由論』2023/11/22
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