出版社内容情報
フェミニストの視点をもてば、作品はもっと面白くなる! 見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、刺激的な批評集が大幅増補で文庫化。
内容説明
フェミニストの見方を身につけると楽しめる、名探偵ミス・マープルの本当のすごさや、文学史に輝く“キモくて金のないおっさん”を描いた名作、そして新時代のディズニーアニメの悪戦苦闘。あの名作が100倍面白くなり、見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、フェミニスト批評集がついに文庫化!型にはめない、はまらないものの見方を教えてくれる批評6本を増補してお届けします。
目次
1 自分の欲望を知ろう
2 男らしさについて考えてみよう
3 ヒロインたちと出会おう
4 わたしたちの歴史を知ろう
5 ユートピアとディストピアについて考えよう
6 型にはめない、はまらない
著者等紹介
北村紗衣[キタムラサエ]
1983年生まれ。武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。ウィキペディアンとしても活動する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅咲文庫
26
おもしろかった。意識して視点を定めることで、これまで見えていなかったものが見えてくる。ひとつ気がつくと連鎖して他の場面にも思いがけない意味が立ち現れてくる。『わたしを離さないで』で、マダムの来訪が不思議だったけど、エミリー先生との関係やふたりが置かれていた環境を併せて考えることでもっと物語の奥へ入っていけるのだと知った。『すばらしき新世界』私はすごく好きなのですが言われてみれば女性の定型化されようはひどかった。そのあたり自分の感度が鈍いことにも自覚的でありたい。→→2025/04/09
阿部義彦
24
私の大好きなちくま文庫2月の新刊。著者の北村紗衣さんは、この本の他に話題となってる『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルためのガールズ洋画100選』(書肆侃侃房)を出してます。ピンと来た方はぜひこの本も読んでみてください。ジイジの私でも面白すぎて夢中で読みました。映画に疎い私でもついつい惹き込まれるフェミニスト批評の世界。映画苦手な私が夢中になった評論家町山智浩さんを彷彿とさせました。最近初めて読んだヴァージニア・ウルフの事も出てきたし、男らしさ、ディストピア等実に爆発的な批評入門書でした。2025/03/09
練りようかん
17
読みたいと思いながら機会を逃し、ちくま文庫入りを発見。増補していてかえってよかったかもと思えた内容だった。小説、映画、舞台など凄まじいインプットの量を感じさせる筆で、根拠に説得力があり批評しながらも決めつけない姿勢が信頼に繋がった。『嵐が丘』に官能性はない?書き手の性差別意識が問題なディストピアSFはうんうん頷きながら読み進め、日本では有名ではないけれどイギリス圏では人気のある作品の紹介と分析が特に面白く学びになった。格下の女しか相手に設定しない男の『負けるが勝ち』は、逆手にとるのが巧い喜劇で観てみたい。2025/04/15
しゅー
8
★★★題名と装丁につられて手に取る。著者略歴を見て『批評の教室』を読んだことあると気づく。同書は新書なので体系立てた書きぶりだったが、本書ではフェミニスト批評に特化して自由に語っている。おとぎ話から戯曲の古典、ディズニーに名作映画と対象もさまざまだ。最近読んでいる成人発達理論や仏教の本でも①人は誰もが偏見のメガネをかけて世界を見ている②メガネが悪いわけではない③どんなメガネをかけているか自覚することが大切だと言うことが語られている。本書で自分のメガネに気づくと同時にフェミニストのメガネを知ることができた。2025/03/14
rinakko
5
頗る面白くて、引き込まれてぐいぐい読めた。フェミニスト批評は好きなので、以前から気になっていた本だ。男性にもプリンセスへの憧れはある(女の子だけのものじゃない!)という件や、サロメをワイルドの分身とみなす解釈には、言われてみれば本当にそうだ…と膝を打った。BL的な読解技術で読めば『嵐が丘』はとてもセクシーな小説であるという件や、人魚姫の痛みは自分のアイデンティティを隠して生きなければならない人の痛みであるという指摘には、目鱗が落ちた。大好きなミス・マープルやシェイクスピアのクレオパトラの件も楽しかった2025/02/28