出版社内容情報
うどんでプリン、海苔巻きバナナ、塩辛サンド……贅沢は敵の時代に母親たちが生み出した食卓を実際に作って味わう、実践的食文化史!解説 湯澤規子
内容説明
うどんでプリン、海苔巻きバナナ、肉なし「そばすき焼き」にはんぺんサンドイッチ…。台所をあずかる女たちは、国破れても立ち止まってはいられなかった。明治から戦後二十年ほどまでの料理本約七百冊、婦人雑誌二千冊に登場するレシピを実際に作って食した著者が、その背後に潜む国家の政治性と“かあさん”たちが生み出すゆかいな創意工夫に迫る、実践的食文化史!
目次
第1章 すき焼き
第2章 サンドイッチ
第3章 うどんとマカロニ
第4章 ねぎま
第5章 人工葡萄酒
第6章 おしるこ&珍スイーツ
第7章 カルピスもどきと代用コーヒー
第8章 玉子チーズ
著者等紹介
魚柄仁之助[ウオツカジンノスケ]
1956年、福岡県生まれ。食文化研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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mukimi
113
生きている上で食はずっとついて回るから食はそのまま人間の生命力の表出だと思う。パン寿司、蕎麦ナポリタン、トマト汁粉、紫蘇コーヒー...家族のために自分のときめきのために主婦たちは奮闘した。亡き祖母は勉強熱心な栄養士だったけど、敗戦後になぜ栄養士になろうと思ったのかにやっと思い至った。祖母がいつも線をひきながら読んでいたレシピ雑誌が、本書に載っている新聞のレシピ切り抜きに重なりそして更には、昨今SNSに流れてくる様々なレシピ動画に重なった。材料がなくても美味しいご飯を作りたいという人の心はいつの世も照らす。2025/03/02
めがねまる
9
戦前戦後の家庭雑誌などに掲載された料理が多数紹介されており、実際に調理して食べた著者の感想や分析などが書かれている本。手軽に挑戦できそうなレシピがあり、その中から林芙美子のトマトすき焼きと、油揚げにひき肉をつめたしのだすき焼きを私も実際に作ってみた。トマトすき焼きは火の通ったトマトと牛肉の相性がよくご飯に合う味、しのだすき焼きは食べ応えのあるお腹がいっぱいになりやすいレシピで、こうして再現してみるのも面白かった。おすすめの本。2025/01/14
ののまる
7
独特の語り口調が楽しい。2024/10/09
Ayana
4
1930年頃~戦後の料理本や婦人雑誌のレシピがたくさん。実際に全部作ってみたというからすごい。「漬物サンドイッチ」や「マカロニあべかわ餅」など仰天するような珍レシピも多々。ねぎま鍋は食べてみたい。しかし台所のおかあさんたちは貧しくとも奮闘していた…と美談ではすませない。戦況が悪くなり食料不足になると、創意工夫は家族のためではなく国家経済のためにすり替わる。押しつけのような節約レシピが雑誌に載る。それを著者は生活者感覚のない「国策レシピ」と呼ぶ。情緒に流されるだけでは本質は見えてこないと、気づかされる。2025/01/30
niz001
4
親本長いこと積んだままにしてたら文庫化しちゃったんで買い直し。チラホラと名前変えたら今でも行けそうなものが。卵カルピスって凄い作り方やな、「玉子酒の素」は良い得て妙。2024/07/17
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