出版社内容情報
フーテンの寅さんは各地のお祭りや縁日を渡り歩くテキヤだった。本書は大正、昭和期、茶碗をネタにテキヤ渡世を生きた老テキヤからの聞き取りをもとに、テキヤの心情、流通、掟などを記録した貴重にして面白いノンフィクションである。
内容説明
祭りや縁日で露店を仕切り、たこ焼き、焼きそば、綿アメなど様々なものを商っていたテキヤたち。なかに、わんちゃ(チャワン屋)一筋に生きてきた老人がいた。かつて物流も発達していなかった時代、テキヤは全国を旅する移動販売業でもあった。旅に生きたかれらの商売、生活、心情などを、民俗学者が聞き取った貴重にして無類に面白い名著。
目次
前口上
二十歳の旅立ち
印物行商と弟子修業
旅から旅へ
旅の色と欲
中口上
ヤシとテキヤの事始め
口伝の社会
高市のにぎわい
茶碗屋の口説き
仕舞口上
著者等紹介
神崎宣武[カンザキノリタケ]
1944年岡山県生まれ。民俗学者。武蔵野美術大学在学中より宮本常一の教えを受ける。長年にわたり国内外の民俗調査・研究に取り組むとともに、陶磁器や民具、食文化、旅文化、盛り場など幅広いテーマで執筆活動を行なっている。現在、旅の文化研究所所長。郷里で神主も務めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わ!
2
不思議な後味が残る良本。「わんちゃ」とは、茶碗を売る露天商の事で、タイトルにある「わんちゃ利兵衛」は、「茶碗売り屋の利兵衛さん」という意味になる。この利兵衛さんへの香具師生活のインタビューを入り口に、民俗学者の著者の解説で、香具師(テキ屋)の世界を案内してもらえる一冊である。後半の章に文字化された、香具師の口上が面白い。子供の頃に本物の香具師の口上を聞いたことがある世代には、この口上だけでも嬉しい。驚き、桃の木、山椒の木、ブリキに狸に…「蓄音機」だったのですね。(「洗濯機」じゃなかったんだ…。)2023/09/02
おおきなかぶ
1
これは名著。利兵衛が残した一通の葉書が心に沁みました。2024/05/14