出版社内容情報
キム・ジヨンの半生を克明に振り返り、女性が出会う差別を描き絶大な共感を得たミリオンセラー、ついに文庫化!解説=伊東順子 文庫版解説=ウンユ
内容説明
キム・ジヨンの人生を克明に振り返る中で、女性が人生で出会う差別を描き、絶大な共感で世界を揺るがした“事件的”小説、待望の文庫化!BTSのRMらが言及、チョン・ユミ、コン・ユ共演で映画化。韓国で136万部、日本で23万部を突破。フェミニズム、韓国文学隆盛の契機となる。文庫化にあたり、新たな著者メッセージと訳者あとがき、評論を収録。
目次
二〇一五年秋
一九八二年~一九九四年
一九九五年~二〇〇〇年
二〇〇一年~二〇一一年
二〇一二年~二〇一五年
二〇一六年
評論『82年生まれ、キム・ジヨン』以後に女性が語り、書くということ(ウンユ)
著者等紹介
チョナムジュ[チョナムジュ]
1978年ソウル生まれ。「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年)、ミリオンセラーとなる
斎藤真理子[サイトウマリコ]
翻訳家。『カステラ』(パク・ミンギュ著、ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)で第一回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
107
再読。先月韓国を案内してくれた韓国人の妻が、映画を観て涙が止まらなかったというのを聞き、数年ぶりに読んだ。韓国ではベストセラーになり、日本でも共感が寄せられているのは、社会の構造そのものが男性優位になっていることを、女性自身が無意識のうちに受け入れざるを得ない状況にあるのだろう。日本での第三者機関により明らかにされたフジテレビの問題も根が深いと思わされる。キム・ジヨンが精神疾患となり、医師のカルテを開示する方式で書かれていることを初読では意識していなかった。本書出版後、韓国社会は変わったのだろうか?2025/04/06
nonpono
77
翻訳小説なんてチャンドラー以来で慣れず、予想外に読むのが時間がかかった。韓国で136万部、日本で23万部のベストセラー。キムジョンという女の軌跡。殴らないだけでまあ、いい男認定なんて。「女性が人生で出会う」差別か。最近は時代が守ってくれるから、明らかなパワハラやセクハラが少なくなっていると思うから、呼吸がしやすくなった。「結婚は?」、「子供は?」、耳にこびるつくように聞かれた。年を重ねて良かったことは、そんな話が出なくなったことかな、なんて読みながら考えた。人生の選択の正しさなんて最後まで霧の中。2024/03/03
JKD
70
韓国の女性差別がここまで根深いとは思ってなかった。優良企業に就職しても女性差別、女性蔑視の文化は根強く荒んでいるらしい。普通に主婦として子育てに奮闘していても社会で働く男性から軽視され、挙げ句の果てにママ虫と蔑まれる始末。その背景には男性の被害者意識もあるらしい。いろんな視点を介してとんでもない事実を知ってしまった気分です。2023/04/16
ちゃとら
68
書店で気になっていた本。1980年代韓国政府の産児制限政策『性の識別と女児の堕胎が大っぴらに行われていた』娘達は男兄弟達を当たり前に支え学費などを工面した😰これは日本だと昭和の終わりから平成の時代そんな大昔ではない。恐るべし男尊女卑。出産のために退職した主人公は精神を病んでいく。賃金をはじめとした男女格差。昨年の日本は世界116位🌀とても先進国と言えない日本。退化している⁈困ったものです。2023/05/05
佐島楓
68
お隣の国だから文化や考え方が似ているのか。いや、そういうことではなく、男が女(特に若い女性)を見るときの視線と、その視線と言動のなか、女性はどうキャリアを犠牲にせずに生きていけばいいのかという普遍を描いているのだと思う。結局のところ、性別云々ではなく、人間として尊重しあえる存在になれればいいのだろうけれど、そこまで大部分の人はまだ成熟していない。社会的な地位や外見に縛られ続けているのだ。改めて考えるきっかけとして、もっと読まれてほしい作品。2023/03/22