出版社内容情報
森羅万象の図像を整理し、文脈を超えて顕れる象徴的な意味を読み解くことで、デザイン的思考の臨界に迫る。図版資料満載の美装文庫。解説 鷲田清一
内容説明
星雲、指紋、素粒子の飛跡。フトンタタキ、ケルトの装飾、コルビュジエのモジュール…。ある種の図像から呼び起されるイメージを整理し、歴史や文化的な文脈を超えて顕れる象徴的な意味を読み解くことで、私たちが無意識に行なっているデザイン的思考の臨界点にせまる。「私たちの思考の衰弱を衝く一冊」(鷲田清一「解説に代えて」より)。図版資料満載の美装文庫。
目次
1 直線の夢(線の乱舞;縦と横 ほか)
2 面の愉しみ(デシメトリ;周辺重視 ほか)
3 形のコラージュ(フトンタタキの謎;円盤物語 ほか)
4 文字と遊ぶ(フィギュア;216、126、32、21 ほか)
5 眼の冒険(振動する眼球;眼光ビーム ほか)
著者等紹介
松田行正[マツダユキマサ]
1948年生まれ。グラフィックデザイナー。書籍のデザインを中心に活躍。「オブジェとしての本」を掲げるミニ出版社、牛若丸主宰。デザインの歴史探偵と名乗り、デザイン史の研究に励む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
60
デザインと美術を中心にしたエッセイ。扱う範囲の広さもすごいが、何よりもオタク的興味をそそられるテーマが続々登場。決して飽きません。かなり前の坂根巌夫の本に、このような取り組みのものがあったと思う。安野光雅・森毅両氏の著作にも通じる、「数楽」の視線が楽しい。暗号・創作文字・デュシャン・図形パズル・ガモフ・眼球運動・宇宙論などなど、多岐にわたる話題とカラー図版が見事。最大の驚きは小口に二枚の絵画を隠しつつ表しているお遊び。現代の製本・印刷のアイディアはすごい。文庫版でここまで可能にしたことにも脱帽だ。2021/03/31
有理数
13
「眼の冒険」と題するように、ただ漫然と「見ている」というところからさらに領域を広げてゆくデザインエッセイ。ロックミュージック、ミステリ小説、映画、建築、世界史、物理など、あらゆるところに話題を押し広げながら、多種多様な分野の「相似」を掴み取っていく。例えば、イギリスのロックバンド、レッド・ツェッペリンが則天武后に繋がったり、一見繋がりそうにないものが著者の発想力で見事に重なる。ひとつひとつがさらっと書かれているのは少し残念だが、人間の「創造」の営みがどこまでも繋がることが体験できる一冊。造本も素晴らしい。2021/07/13
masabi
9
【概要】デザイナーによるデザイン・美術のエッセイ。【感想】フルカラー、小口に肖像画が配される豪華な文庫本となっている。テーマに沿って、作品や書籍から連想が飛躍する。2021/03/30
TOMYTOMY
3
めちゃくちゃ面白い。ここまで壮観出来る知識と編集能力。 2022/08/10
イワハシ
3
毎回テーマを決めてそれに関する図版を集めて並べて楽しむ本。とても面白い。見ているだけで楽しく、そこから勝手に思考を進めてもいい、使える一冊2021/05/10