出版社内容情報
人々が飲み物を楽しみ語り合う場所はどのようにして生まれたのか。コーヒーや茶の歴史、そして作家や文化人が集ったあの店この店を探る。解説 内堀弘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
29
この著者は初読み。喫茶、珈琲の受容史から始まり、サロンとしての喫茶店の隆盛、変貌を概括している。取り止めがないとも言えるが、小生が知りたかったカフェとかミルクホールについての証言が興味深い。珈琲の受容とか文芸、芸術活動の溜まり場、「喫茶店の歴史」は創造活動の歴史でもあったのだ。名を成した人、成せなかった幾多の人々の「無為な時間」を喫茶店は提供してきたのであろう。この本の凄い所は纏まった資料などあろう筈のない分野にも関わらず引用元を律儀に上げてある点で注の量が半端じゃない。2020/09/27
ハルバル
11
喫茶店を軸に語る文学、社会、文化史の集大成のような本。そもそもの茶店のはじまりから解き明かし、コーヒー蘊蓄、喫茶店創世記など膨大な引用からなり、明治大正の有名無名マイナーな文化人達のエピソードがたくさん出てくるのだが知らない人も多く個人的にはノリ切れないところも。解説にもあるけど辞典的な使い方に向いてるのかな。全部読むというよりは興味があるところをつまみ読みするのがおすすめです。2020/05/18
チェアー
9
まさに喫茶店のスクラップ帳。料理の仕方によってはもっと面白くできた素材と思うが、あえて魚屋の陳列のように、素材だけを見て、あとは各自でそれぞれの経験や思い出とともに料理すればいいということか。喫茶店が芸術や思想の孵卵器であることがよくわかる。逆に意地の悪い言い方をすれば、そうでない「喫茶店」はコーヒー飲み場でしかないと言えるのかもしれない。2020/07/29
アメヲトコ
7
単行本2002年刊、20年文庫化。コーヒーとお茶の歴史から話を起こし、スタバの登場までの喫茶文化史をまとめあげた一冊です。文庫ながら註に索引までついていて、事典的にも使えそう。私は世代的に喫茶店に親しんだ方ではないので、上の世代であれば実体験をふまえて読めるのかなとも。個人的には代用コーヒーの系譜の話が面白く、明治時代にはオクラコーヒーなんてあったのね。2020/06/28
uettee
6
昭和レトロブーム(それも今はもう終焉に向かっているのだろうか)の若者が読んでもさっぱりだろう。ところどころ知っている作家などは出てきたが、他の方の感想も参考にすると、インテリ、古臭ささが漂ってきそうな、、というのも否めない。。ただ、全然入っては来なかったが、積読の岡崎武司氏の本はもしかすると読むきっかけにはなったかも知れない。ただ、オシャレな場所に変わりつつある喫茶→cafeではあるが、70.80歳代が読むには刺さるものもあるかもしれない。ただ、今の若者には理解し難い内容の本だろな。2025/03/22