内容説明
鍛冶は火を自在に操り、鉄を打ち鍛え、使い手の用途にあわせて造形を調整する。包丁、鉈、刀など、練達の職人技によって生み出される鉄の道具は、人間のさまざまな営みを可能にし、日本の文化と社会を支えてきた。鍛冶修業を続けてきた著者が、名工を訪れ、伝統的な鍛冶文化の深奥と職人たちの執念を描く体験ルポルタージュ。
目次
1(鮎の切り出しナイフ―「三代助丸」碓氷金三郎(新潟県与板町)
ブッシュナイフ―稲越登(鉈鍛冶、新潟県三条市)
魚捌きナイフ―矢矧幸一郎(鋏鍛冶、千葉県館山市) ほか)
2(鞴;火床;治具 ほか)
3(鍛冶炭―久保田照夫(炭焼き人、岩手県九戸村)
研ぎ―江川保(研ぎ師、東京都)
剣鉈―山中秀人(山師、埼玉県秩父市) ほか)
著者等紹介
遠藤ケイ[エンドウケイ]
1944年生まれ。自然のなかで手作り暮らしを実践しながら、日本全国、世界各地を訪ね歩き、人びとの生業や生活習俗を取材。子どもの遊び、野外生活、民俗学をテーマに、絵と文による執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字スキー
19
日本のアイドルグループや火星サバイバル、なろう系ラノベ等でDIY人気が高まっているそうだが、そもそも自らの生活は自らの手で成り立たせるのが本来の人の生活ではなかったか。うすっぺらで無責任な経済合理主義が、画一的な紛い物の大量生産大量消費を正当化し、あらゆるモノを食い尽くさんとする現代。有史以来、人の生活と共に在り続けた鉄の歴史。炎と鋼の錬金術師に魅せられた著者が、四十路に始めた鍛冶修行の日々。 2019/10/14
そうぺい
9
初読。遠藤さんの本は初めて。面白かったです。鍛冶屋…憧れてますね、昔から。ナイフや刀剣などだけではなく、道具鍛冶等も千代鶴是秀にはまってからは実用美に魅せられてたり。また、遠藤さん自身が鍛冶もやらはるということを前提なので体験~というより技を盗むために鍛冶に関する色々な場所を訪ねていくという訪問記といった所でしょうか。ただ、まあ興味深く面白い内容が綴られているんですけど、文体が…(笑)この慇懃無礼な感じが我慢出来るかどうかですね。謙遜やら世間に対する主張はわかったから!って一回は突っ込むと思いますw2020/01/21
俊毅安村
0
ナイフマガジンで連載をしていた鍛治職人とのことです。 作者本人が鍛治仕事をやる方だけに文書に迫力があり、炭割すら素人には難しい鍛治の難しさがつたわり、素晴らしいルポになっています。自身の鍛冶場の整備や、特殊な刃物の扱いや、それに合わせた鍛治の技術や職人魂など、内容てんこ盛りな一冊です。是非、多くの方に、読んでほしいですね。 しかし、ここに載っている職人さんの技術が、果たしてどれだけ継承されたかが心配になりますね2019/12/25
よこ山
0
鍛冶に関する体験記です。「菜切り包丁」など、主題とする物ごとの短編(各10ページくらい)が集められており、通勤中に読むのに最適でした。装飾過多気味なのは少し気になりますが、それだけ著者の鍛冶に対する思い入れが感じられます。驚きなのは、ほとんどの話で著者が鍛冶を実際に行っている事です。そのためか、端々の記述に説得力があります。2019/10/16
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