内容説明
自らの声で、カントの迷いと葛藤をときほぐす。すると時代を築いた思想の、素顔が見えてくる。『カントの自我論』(2000年刊)から、本書『カントの超越論的自我論』へ。
目次
第1章 「私」は思考する(実体としての「私」の否定;超越論的統覚;純粋統覚)
第2章 「私」は現存在する(現存在の感じ;「私の」身体;主観の状態)
第3章 「私」は自己を知る(自己触発;内的経験;自己認識)
第4章 超越論的自我論の限界(前批判期における「現存在」の問題;様相としての「現実性」;現実性と物自体)
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946年生まれ.東京大学法学部卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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湿原
12
「私の現存在」がどこから由来するものか、いかにして与えられたか、現在でもまったくわかっていない謎であるが、カントの超越論的統覚と密接に結びついている。超越論的統覚自体は現存在する私を表面的に捨象している。それは客観的•普遍的な世界(現象において)を構築するための形式であるからであるが、超越論的統覚が内的感官(固有の身体)に自己触発することによって、内的経験が作られる。この内的経験によって自らの過去を〈いま〉知覚できるのだが、この過去は実際には実在しないものである。超越論的統覚によって形成された外的経験と2025/02/26
昌也
0
再読2025/04/20
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