出版社内容情報
木挽町という町があって、そこに曾祖父が営む鮨屋があった。幻の店を探すうち、過去と現在がひとつになってゆく。著者初のエッセイ集。解説 坪内祐三
内容説明
かつて木挽町という町があって、そこに曾祖父が営む鮨屋があった。一代で消えた幻の店を探すうち、日常と虚構、過去と現在がゆらゆらと絡み合いひとつになってゆく。少年時代のこと、出会った本や音楽のこと、東京という町のことなど、日々の暮らしによぎる記憶と希望を綴った、魅惑の吉田ワールド。新たな書き下ろしを加えて、待望の文庫化。
目次
左利き
黒いうわっぱり
一行アキ
改行なし
歩け歩け
逃げろ逃げろ
一九七二年のラジカセ
舞台袖
玉手箱
十二時三十四分〔ほか〕
著者等紹介
吉田篤弘[ヨシダアツヒロ]
1962年東京生まれ。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作と装幀の仕事も行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
吉田さんのご自分のルーツを探るエッセイです。曾祖父のすし屋が木挽町(今の(東)銀座で歌舞伎座があった近辺とは知りませんでした)にあったということで、この題名になったようです。幼少期のことばかりではなく、本や音楽あるいは知人についてもかなり触れられています。解説が坪内祐三さんで岸本佐知子さんと同様に吉田さんと同じ世田谷区の赤堤小学校出身であったことを書かれています。2024/09/03
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
73
☆4.0 12連休中、読書は捗っていた。日に3冊のペースだった。 連休も7日目、いきなりペースダウンが訪れた。 気になる小説を手に取る。が、数十頁で嫌になり別の小説に手が伸びた。 しかしそれも数十頁で嫌気が差し、また別の小説にと... そして“これ”に落ち着いた。最後まで挫折無く読み終えた。 2020/12/31
ユメ
44
文庫で再読。昔むかし、曾祖父の音吉が〈音鮨〉を営んでいたという木挽町を目指して篤弘さんが歩く。一歩一歩が、己のルーツを辿っているのだ。街を、そして白紙の上を歩くうち、次々と思いがけない事実が浮かび上がり、連鎖してゆく。すべて、小説のような本当のこと。人は何かしらの形であちこち世界と繋がっていて、その繋がりを見出すことこそが人生の醍醐味であることをこのエッセイは教えてくれる。そもそも、本を読むということ自体が、人から何かを引き継ぐことではないか。この本こそ「この世についての愛のある解説」だと私は言いたい。2017/11/20
あんこ
30
単行本も持っているし、何度も読んだのに、また読む。文庫版で。江戸っ子風なのに、適当に気取っているこのエッセイがすき。落ち着くのです。また銀座をふらつきたくなりました。歩いたり、逃げたり、戻ったり、とせかせかした不思議なエッセイ。2015/08/11
mntmt
29
あとがきまで良かった。2017/10/02