出版社内容情報
FBIやCIAの暗躍。エルヴィスとディーンの登場。そして公民権をめぐる黒人の戦いなどが描かれる第二巻。巻末対談は越智道雄×町山智浩。
内容説明
平和と繁栄を謳歌しているように見えながらも、裏では、暗い政治家たちが暗躍していたアメリカの50年代。FBIやCIAは暴走し、大統領ですら制御できない。一方、エルヴィスとディーンの登場で若者文化が一変する。黒人差別に対する戦いもすでにはじまっており、この時すでに60年代の革命の種は、ひそかに蒔かれている。
目次
リチャード・ニクソン
フーヴァーのFBI
CIAの暗躍
グアテマラのクーデター
国務長官ダレス
分離主義の違憲判決
反動と闘争
集団移住
エルヴィスとディーン
ゼネラル・モーターズの繁栄
広告の時代
テレビの中の「理想」
『灰色の服を着た男』と『ホワイト・カラー』
著者等紹介
ハルバースタム,デイヴィッド[ハルバースタム,デイヴィッド] [Halberstam,David]
1934年ニューヨーク生まれ。ジャーナリスト。ハーバード大学卒業。ニューヨークタイムズの海外特派員として活躍する。64年、ベトナム戦争報道によりピュリッツアー賞を受賞。取材の対象は、政治、経済、産業、社会からスポーツ、人物など極めて広範に及ぶ。2007年没
峯村利哉[ミネムラトシヤ]
1965年生まれ。翻訳家。青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
21
平和と繁栄のアメリカ50年代。しかし、その裏では政治家や政府機関の暗躍があり、テレビや広告が新たな時代を創り出していた。この第2巻ではとにかく政治の闇が描かれて胸焼けするほど。しかし、その暗闇が面白いのです。「エルヴィスとディーン」は二人のスーパースターの肖像を、「灰色の服を着た男とホワイトカラー」は新たに生まれた中流階級の不安を、「広告の時代」はラジオからテレビへと舞台を変えた広告の成長と繁栄を、唸るようなエピソードと分かりやすい語り口で解説していて、とくに面白かった。2020/02/08
Shin
19
繁栄と楽観の裏側にある、緊張と不安、そして矛盾。アメリカの50年代は、現代における「表層の華やかさ」と「裏側の脆弱さ」の乖離が始まった出発点であるように思われる。その一方で、公民権運動に見られるような本当の意味での四民平等へ向けた(苦痛に満ちた)第一歩が踏み出された時代でもあり、それらが渾然一体となって激動の60年代へ供給される【圧力】を蓄積していくのが分かる。2016/04/04
MUNEKAZ
12
CIAやFBIの暗躍、色濃く残る黒人差別、孤立する中産階級とアメリカの「嫌われる」部分が、繁栄の裏で立ち現れる。アイゼンハワー政権はこの時代の象徴するようで、大統領のノーブルな外見の裏側で、ニクソン、ダレス兄弟、フーヴァーたちが汚れ仕事を行っている(解説の越智氏が「ずるい」と評するのはその通り)。初の黒人補佐官を登用しつつ、実質は何も活躍させなかったというエピソードは、時代がまだまだ見せかけだけの姿勢だったことを表しているよう。60年代、70年代に噴出する問題が、マグマのように溜まっていく内容である。2022/04/10
tsu55
11
最高裁による人種分離の違憲判決と、それに対する白人保守派の反動。南部農村地帯から北部工業地帯への黒人の人口移動。白人でありながら、黒人並みの歌唱力とビートを併せ持ったエルビスプレスリーの登場……。 やがて公民権運動につながる人種問題に関するハルバースタムの記述は、多岐にわたりかつ重層的で読みごたえがあります。2015/12/31
わたなべよしお
10
何もいうことはありません。ハルバースタムの描き出す50年代は文句なく面白い。資本主義社会が、生み出した「疎外」。あったねぇ、昔。2015/10/08