出版社内容情報
ゆるキャラ、初音ミク、いじられキャラetc.。現代日本に氾濫する数々のキャラたち。その諸相を横断し、究極の定義を与えた画期的論考。
内容説明
ゆるキャラ、初音ミク、AKB48、サンリオキャラ―。次々と多様なキャラクターが登場し、ときに爆発的な人気を得ている現代日本。「いじられキャラ」のように、人間関係にまでこのキャラは用いられるようになった。いまやキャラクターは、我々の日常生活に深く浸透している。こんなにも日常化したキャラとは、一体何なのか?キャラ文化の諸相を横断し、原理的な考察により究極の定義を与えた画期的な論考!
目次
第1章 「キャラ」化する若者たち
第2章 「キャラ」の精神医学
第3章 「キャラ」の記号論
第4章 漫画におけるキャラクター論
第5章 小説におけるキャラクター論
第6章 アートとキャラの関係性について
第7章 キャラの生成力
第8章 キャラ“萌え”の審級―キャラクターとセクシュアリティ
第9章 虚構としてのキャラクター論
第10章 キャラクターとは何か
著者等紹介
斎藤環[サイトウタマキ]
1961年生。医学博士。筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、ラカンの精神分析、「ひきこもり」の治療、支援ならびに啓蒙活動。漫画・映画等のサブカルチャー愛好家としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aster
49
日をあけてやっと読了。話自体は興味深いけれど、個人的にはあまり面白くなかった。冗長で理論を延々こねくり回している感じが苦手でした。2020/09/12
harass
45
ヲタ文化と著者の専門分野の精神医学などをからませる評論。ヲタ系だけでなく日本人文化や社会までの射程がある。こういうのはこの著者の独壇場だと感心する。ネットやヲタ文化を多数取り上げているで特に間違ってないのはさすがだ。大塚英志新城カズマ清涼院流水西尾維新のキャラ作成の相違点などの指摘は読みがいがあった。やっぱり西尾はえらい才能やと感じる。ネット文化の話題で偽春菜やブロント語のことがでてきてのけぞってしまった。2017/02/27
佐島楓
26
「キャラクター」という文脈で語ることが可能な事象が現代日本においていかに多いか、と気づかされた。自分の位置づけさえもキャラで説明してしまう人間なんて、日本人だけなのではないだろうか。2015/01/10
Porco
13
再読。第一章のキャラ化する若者は何度読んでも、学校のクラスという一社会での役割を意識的に演じて、その演じた役割と自己の差異にかなりの年数悩み続けていた中高学生時代を送っていた哀しいいきものだったので、本筋からは離れるがそこに関しては下手な鬱話より効く。読んでいて「心の古傷を理詰めで解体しないでくれ」と言いたくなるほどに気が滅入る。 (1/2)2024/08/30
いりあ
11
精神科医 斎藤環氏によるキャラクター論です。学校やTVの中などの現実世界とマンガ、アニメやアートなどの創作における「キャラ」を比較検討し、キャラの定義を「同一性を伝達するもの」としています。まだまだ荒削りな部分も感じられるので、多数の方によるさらなる考察が望まれます。本書の中では「キャラクター」「キャラ」を明確に分けており、その上で「キャラ」について論じているので、本当であれば「キャラ精神分析」になるのかなと思いながら読みました。2018/10/06