出版社内容情報
四千五百数十首から精選した、恋の歌、挽歌、自然の歌、旅の歌などに溢れる万葉人の心を読む。抒情溢れる現代語訳と共に。
内容説明
万葉人は自然の中で、宮廷で、異郷の地で、豊かに、濃やかに、みずみずしく心情を歌い上げた。最古の歌集といわれる『萬葉集』四千五百数十首の中から、青春時代にその魅力に取りつかれ愛読書としている著者が、選りすぐった歌を情感あふれる文章で丁寧に鑑賞する。「恋の歌」「挽歌」「自然を歌う」「羇旅の歌」「東歌」「防人の歌」が、時空を超えて生き生きとよみがえる。
目次
第1章 恋の歌(恋のはじまり;片恋の苦しさ ほか)
第2章 挽歌(皇子たちへの挽歌;妻への挽歌 ほか)
第3章 自然を歌う(梅ひらく;春の喜び ほか)
第4章 羇旅の歌(国内の旅;伝説の美女たち ほか)
第5章 東歌(牧歌調のなつかしさ;おおらかに性を歌う ほか)
第6章 防人の歌(発ちの急ぎの哀しみ;辺境への旅のみち)
著者等紹介
清川妙[キヨカワタエ]
1921年、山口県生まれ。奈良女高師(現奈良女子大学)卒業。教職を経たのち文筆活動に入る。古典評論、エッセイなどの執筆のほか、万葉集、枕草子などの講座や講演会などで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
46
今年初めの読了本は清川さんの万葉集。清川さんはとても上品に優しく語られるので大好き。『恋とは結局、相手を信じる自分を信じること』そして『「萬葉集」の自然詠の中には、いつも恋の微粒子が、ひそかに隠されている気がする。』そんな清川さんが‘まさに珠のような歌’と紹介されているのが<巻13/3314>妻が夫へ贈る長歌と夫から妻への返歌『馬買はば妹徒歩(かち)ならむよしゑやし石は踏むとも我(あ)はふたり行かむ/3317/巻13』心のこもった‘ことば’を歌にして贈り合うって素敵だな。2020/01/01
belle
5
斉藤茂吉の「万葉秀歌」をはじめ、様々な解釈で万葉集と親しんできた。初めましてはやはり持統天皇の~春過ぎて~だと思うが、集の名を意識したのは額田王~あかねさす~だったかと。今回の読書では特に遣新羅使人と防人の歌に心が共鳴した。2018/03/27
雪子
1
萬葉集は教科書で少し見た程度でしっかり読んだ経験はなく、しかし以前から興味があったため、入門のつもりで手に取りましたが、予想以上に美しい文章と分かりやすい解説で、無学な私でも最後まで楽しむことができました。読んでいて難解な部分はなく、ガンガン知識を得るというよりは清川妙さんの感性をもとにしてゆったりした気持ちで和歌を楽しむことができました。読んでいると好きな和歌がいくつか見つかります。恋の歌ももちろんいいですが、それ以上に防人の歌は胸が締め付けられました。2025/03/17