出版社内容情報
日々の暮らしと古本を語り、古書に独特の輝きを与えた「ちくま」好評連載「魚雷の眼」を、一冊にまとめた文庫オリジナルエッセイ集。
内容説明
借家に住み、あまり働かず、日中はたいていごろごろしている。古書店めぐりをすませたあとは、なじみの高円寺酒場で一杯。天野忠、矢牧一宏、ラスキン、十返肇、古山高麗雄、阿佐田哲也、梅崎春生、深沢七郎、中村光夫…日々のなかで出会うなつかしい本たち。魚雷さんの目で見れば、古書もまた別の輝きを帯びてくる。「ちくま」の人気連載「魚雷の眼」に書き下ろしおよび未収録原稿を加えた、文庫オリジナル古書エッセイ。
目次
怠け者の読書癖―序にかえて
ねたり起きたり
ケンランたる怠癖
昔日の客と店主と写真集
ラスキンの住むエリジアム
筆は一本、批評は十返
石原吉郎のノート
阿佐田哲也の「条件」
ワーキングプアと戦争
書斎の哲人〔ほか〕
著者等紹介
荻原魚雷[オギハラギョライ]
1969年三重県生まれ。文筆家。大学在学中からフリーライターの仕事をはじめるも、なかなか生計が立てられず、アルバイトで食いつなぎ、現在にいたる。書物同人誌『sumus』同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
今ごろになって『虎に翼』を観ているおじさん・寺
56
少し前に梅崎春生『怠惰の美徳』(中公文庫)を読んで大層面白かったが、あの本もこの著者この本ありき。私も自分は本好きで、結構知っていると思いきや、本書を読んで舌を巻いた。洋の東西を問わず有名無名の文筆家を紹介してくれる。どの人の本も読みたくなってしまう。題名を見るとのほほんとしたユーモア読書エッセイに見えるが、荻原魚雷という人は真面目である。近年の世の中の問題にも時に触れながらいろんな文章を紹介する。余計なツッコミを入れて安易な笑いを要求しない。この本は真っ当な現代の読書案内なのである。おすすめします。2019/07/18
tomi
38
「ちゃんとしていない大人は大人で、それなりに味がある。わたしが好きな作家の大半も怠け者で屁理屈や愚痴ばかり書いているような、どちらかといえば、ちゃんとしていない大人たちである」。怠け者を自認する古書好きの著者により書評エッセイ。登場するのは怠け者代表のような梅崎春生をはじめ天野忠、関口良雄、阿佐田哲也、深沢七郎、古山高麗雄らなかなか渋い顔ぶれ。あくせくせずに時間をかけて読みたい、味わい深い一冊です。2019/04/09
燃えつきた棒
37
豊崎由美さんは、稀代の「ケモノバカ」だそうだが、その伝でいけば、僕は「怠け者バカ」かも知れない。 本のタイトルに「怠け者」とあったので、吸い寄せられるように手に取ったが、案に違わず魚雷先生自身も相当な「怠け者バカ」らしい。 つげ義春が、ボロ宿に異様な執着を見せるように、魚雷先生にも怠け者や落伍者や詩人達への偏愛やみがたいところが窺える。 本書のキーワードである古本オタク、中央線沿線、怠け者にしても、最初の項を名画座に置き換えれば、なんだか僕の学生時代のようでもある。 2018/07/05
kochi
21
本を読むこと以外は、「怠け者」の著者が、琴線に触れた選りすぐりの著者にゆるく迫る。例えば、名前は知っているが、どんな人物かわからなかった青野吉郎について、中野重吉の古書の「青野季吉研究」に心が動き、丸山邦夫の『コラムの世界』に背中を押されて『文学五十年』にとりかかる。私は『明日から出版社』を読んで気にかかったが迷っていた関口良雄『昔日の客』(復刻版)を、本書で野呂邦暢と古本屋店主関口の交流のエピソードを知り、早速、池袋の某ますく堂で夏葉社版を購入。多摩屋さん曰く「魚雷さんにハズレなし」は真実であった。2016/09/18
緋莢
19
日中はごろごろし、古書店めぐりでお気に入りの作家&気になる本を見つけて馴染みの高円寺酒場で一杯。阿佐田哲也や深沢七郎、矢牧一宏などなど 様々な作家や本に、新たな輝きを見る。「ちくま」の連載に書き下ろしと 未収録原稿を加えた古本エッセイ。2015/12/11
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