出版社内容情報
オースティンの長篇小説を全訳した著者が、作品中の含蓄ある名言を紹介する。オースティン・ファンもこれから読む人も満足する最高の読書案内。
内容説明
ジェイン・オースティンの長篇小説を全訳した著者が、作品の中で語られる含蓄ある名言を紹介する。皮肉とユーモアを愛するオースティンが小説にこめた深い意図を新たに発見するきっかけになる一冊。普遍的な人生の言葉として受け止められるものもあれば、作中の登場人物をよりよく理解するためのキーワードもある。オースティンの真髄を映す読書案内として最適の書。
目次
高慢と偏見
分別と多感
ノーサンガー・アビー
マンスフィールド・パーク
エマ
説得
面白さの現場を押さえる―あとがきにかえて
著者等紹介
中野康司[ナカノコウジ]
1946年神奈川県生まれ。元青山学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森の三時
7
オースティンの小説は、娘が結婚するまでの恋愛小説が多い。200年前、階級社会の家柄、娘に相続権がなく、男女の出逢いの場も舞踏会など限られ、そんな頃の話だから、ダンスも結婚も相手を選ぶ権利は男性にあり、女性は断る権利しかない。でも、彼女の描く娘たちは生き生きしている。分別と多感、高慢と偏見など、英国映画を観て好きになった作家。この本は、そのセリフ集。男女の言い争いにもどこかユーモアと品を感じ、人生における含蓄がある。なお、セリフは、小説の展開の中で目にした方が一層味わい深いかな、中野先生もそう語っていた。2015/08/08
viola
6
ちくま文庫でオースティン長編を全訳された、中野氏によるオースティン名言集。オースティンの言葉はもちろん、中野氏のそれに関するコメントがまた絶妙。オースティンを敬う気持ち、愛する気持ちがたっぷりと詰まって、さらに中野氏自身がオースティン風ユーモアを兼ね揃えているのでたまらない!但し完全なるネタバレであるため、未読な箇所は絶対に読まないことをお勧めします。何度読んでも楽しめるけれど、「初読」は一度きりですから。『エマ』は確かに、2度目の再読だとより奥深さが増しそうですね。オースティン全てがまた読みたくなります2012/07/29
kaoriction@本読み&感想 復活の途上
6
オースティンの オースティンによる オースティン好きのための作品。でも、オースティン未読でも十分楽しめる。作品中の、人間と人生についての言葉があり、あらすじを絡めつつ紹介。200年も前の小説たちなのに、全然古くない。それどころか、オースティンを「ラブコメ」と捉えるなんて新しいのかも。私はやっぱり『高慢と偏見』が1番好きだけれど、『エマ』もそういう見方があるのかぁ、と発見もあったし、いまの私は『説得』を1番読み返してみたい、と思った。否、全部再読必至かな。やっぱり、オースティン。ビバ!オースティン!2012/07/11
mabel
5
再読。なんだか最近オースティンを全部読み返したい気分なんだけどなかなか時間がなくて、とりあえずの応急処置として中野さんの本を読む。やっぱりいいなぁ。2016/02/12
hatom
3
オースティンの小説はどれも男女が紆余曲折を経て結婚するまでを描いているけど、何が面白いのか言われると説明するのが難しい。この本はあらすじを追いながら登場人物たちの名言を紹介する。小説を読んだことがある人なら、著者の解説に納得したり「こんな見方もあったのか」と新しい刺激をこらうことができると思う。小説を読んでいない人なら、ただの恋愛小説ではなさそうだと感じてくれそう。でも完全ネタバレなので、興味を持ったら是非小説を読んで欲しいなー。2015/02/28