出版社内容情報
ちくま日本文学008 太宰治
文章の天才・嘘の達人
パロディの名手
目次
魚服記
ロマネスク
陰火
満願
黄金風景
津軽・抄
女生徒
千代女
十二月八日
新釈諸国噺より
貧の意地
破産
吉野山
お伽草紙より
カチカチ山
親友交歓
トカトントン
桜桃
ヴィヨンの妻
【解説: 長部日出雄 】
内容説明
文章の天才・嘘の達人・パロティの名手の代表作19編。
著者等紹介
太宰治[ダザイオサム]
1909‐1948。青森県北津軽郡の生まれ。本名津島修治。中学の頃より同人誌に習作を発表。旧制弘前高校から東大仏文科に進む。この間、左翼思想に傾倒。「魚服記」「思い出」でデビュー。戦中から戦後にかけて、次々と秀作を発表。流行作家としての栄光のさなかに自殺(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
113
面白かったです。太宰の作品の中でも明るめのものが多く、その語り口調はとても魅力的でした。暗めやエゴイズムの作風というイメージが何処かへ行ってしまうほどのユーモアがあります。既読のものもあれば、初めて読む作品もありましたが、改めて太宰が読みつがれるのかという片鱗を除いたような気がしました。「私」を皮肉として描いたりするところや、女性の視点で描いたのかと思わせるような見事さに惹かれます。2016/08/29
優希
78
再読です。太宰は退廃的であり天才であると思わずにはいられません。ユーモアあふれる文体で語られる物語の数々は、人として駄目な空気を感じさせます。生と死を意識した作品の数々に魅了されずにはいられませんでした。太宰が読み継がれるのは明暗の中で様々な色彩を見せてくれるからだと思わずにはいられません。2019/01/31
優希
52
太宰の作品にしては明るめでユーモアのある作品を集めた印象です。生と死の意識は感じつつも、その空気感はあたたかい。代表作と言われるものは殆どおさめられていませんが、明るい太宰を堪能できる1冊です。2022/08/14
さぜん
43
「女生徒」「千代女」が良かった。当時の女性の立場や心情がリアルに描かれ、現代に通じるものを感じる。巻末の長部日出雄の解説で「太宰治の魅力をたった一言に要約せよといわれたら、語り口と答えたいくらい」とある。全編通してそれは充分に感じた点だ。暗いイメージがあった太宰作品だが、パロディあり、御伽話ありと引き出しの多い作家だった。2025/05/07
ころこ
43
最初に『魚服記』を持ってきたのには恐れ入った。岡本かの子『混沌未分』がこの作品に近く、男性作家がこれを書けるというところが特別な才能たる所以なのだろう。悩みの青年文学というパブリックイメージを払拭するのが編集者のねらいだろう。大塚英志は女性の一人称に太宰の真骨頂はあるといっている。本当に独白している訳ではなく、ましてや書き手は男なのでフェイクなのだ。あたかもひとりの人格が立ち上がるというような気にさせるのが文学だとすれば、最も上手い書き手は太宰であり、代表例に『女生徒』を挙げている。本巻に収録されている。2024/10/27
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