内容説明
童話と詩、それぞれの代表作が一冊に。
著者等紹介
宮沢賢治[ミヤザワケンジ]
1896‐1933。岩手県花巻市の生まれ。生家は古着・質商。盛岡の高等農林学校在学中に詩や散文の習作をはじめる。日蓮宗に深く帰依し、一時上京して布教生活を送る。帰郷後は農学校で教えつつ多くの詩や童話を書く。やがて農学校を退職、「羅須地人協会」をつくり、農民への献身の生活に入った。生前はほとんど無名のままに死去。病床のなかで手帳に綴ったのが「雨ニモマケズ」の詩(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
107
宮沢賢治の作品はほとんど読んでいるのですが、このアンソロジーで読むとまた感じが異なります。いくつかの作品も絵本やコミックでも読んでいるのですが、新しい発見を見つける気がします。とくに私の好きな「注文の多い料理店」などは、落語のような感じを受ける時もあったり、気味の悪い感じを感じる時もあったりします。「オツベルと象」「よだかの星」もいいですね。2024/09/08
ころこ
47
童話に比べて詩の言葉の前衛さに驚きます。童話は森と動物の物語で、そこで喚起されるのは日本の風景よりも、もっとデフォルメされた東洋と西洋の間にある世界の様な自然です。それに対して詩には「有機交流電灯」「宇宙塵」「新生代沖積世」と未来的だが、いかつく、だが不安げな、その当時は耳慣れなかっただろう言葉が並びます。この先進性と、素朴ではない奇妙な生物の世界のアンバランスに、単にノスタルジーではないためにどこか収まりの悪い、だからこそ気になる賢治の再読させる力が潜んでいるような気がします。2022/01/11
優希
46
イーハトーヴォの世界を楽しみました。童話とファンタジーの混じった独特の世界が賢治の持ち味なのだと思います。賢治の描く世界は自分の夢と言えますね。2022/03/02
優希
44
賢治の描く世界はファンタジーと童話の融合なのだと思いました。その独特な世界がイーハトーボとして私たちにキラキラしたものを見せてくれるのだと思います。子供の頃、貪るように読んだ賢治の世界が大人になってもまた輝きと夢を見せてくれました。2022/08/15
さぜん
41
「よだかの星」はみにくいと蔑まされたよだかが、最後に星となって燃え続ける。何とも切ない。「二十六夜」は梟の説法に救いを求める子ども梟の姿にグッとくる。「グスコーブドリの伝記」は農民達が安定した暮らしができるように命を懸ける姿に作者が重なる。宮沢賢治の世界にあまり馴染めず読まず嫌いだったが、読んでみると自分の読書の狭さを認識させられた。2025/03/20