内容説明
十字架上のイエス・キリストの下着はパンツか、ふんどしか、腰巻か。幼少期に芽生えた疑問を心の中であたため続け、長じて作家となった著者は、パンツ・ふんどしをめぐる世界史的な謎の解明に挑むことになる。前人未到の試みとして「ちくま」連載中から話題騒然となり、没後、「最も米原さんらしい本」と評される、抱腹絶倒&禁断のエッセイ。
目次
四〇年来の謎
よい子の四つのお約束
ルパシカの黄ばんだ下端
紙という名の神
パンツとズロースの相違
『友誼』印のズロース
禁欲と華美と
伝統との訣別
羞恥心の迷宮
羞恥心の誕生〔ほか〕
著者等紹介
米原万里[ヨネハラマリ]
ロシア語会議通訳、作家(1950-2006)。59~64年、在プラハ・ソビエト学校に学ぶ。著書に『不実な美女か貞淑な醜女か』(読売文学賞)、『魔女の1ダース』(講談社エッセイ章)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(大宅壮一ノンフィクション賞)、『オリガ・モリゾヴナの反語法』(Bunkamuraドゥマゴ文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
234
米原万里さんが40年来の謎に挑む。タイトルだけかと思ったら、全篇これパンツとふんどしの話題に終始というより、これはもうれっきとした研究書。巻末の参考資料も膨大な数の下着文献。万里さんの文献探索力、そして何よりもその執念は凄まじい。ライフ・ワークというだけのことはある。パンツ(ここでは下着全般を代表するものとする)の文化史、民族学、絵画史などから、シベリア抑留者の手記など、とにかくパンツに関する資料を可能な限り集めての考察。手書きの図解もあるのだが、どうやらそれも図工がお得意のご本人の手によるもののようだ。2015/03/10
Tomoichi
29
米原万里による「ふんどし」探訪。ふざけたエッセイではなく真面目にふんどし(下着)の歴史を「シベリア抑留者の手記」や「古事記」「聖書」まで動員して探る。ロシア語通訳だけあってロシア語英語のテキストまで分析。下着の奥深さを感じるエッセイです。昭和16年生まれの父は結婚するまで越中ふんどしで昭和21年生まれの母はそれが結構ショックだったと散々聞かされました。小学生の頃やっぱりふんどしが良いと言い出した父の為に母がふんどしを手作りしてました(笑)2017/04/12
ばっか殿すん
23
パンツとふんどしに関する深い深い考察。。一冊真面目にパンツでした!とにもかくにもパンツ!パンツは生活の基本である!2014/06/05
びっぐすとん
13
気にはなっても誰にも聞けないシモ系の雑学。「実は私も気になってたの!」という謎が解決してスッキリ(どのネタかは秘密)。とことん調べるのはさすが。世界の嘗てのおパンツ事情も披露する場所はないが、面白い。米原さんの政治色の強いエッセイよりこういうエッセイの方が好き。
naotan
13
内容の面白さもさることながら、連載中に寄せられた反応から、どんどん話が広がっていくのがすごい。これは米原万里さんの才能だなあ。2019/06/21