ちくま文庫
多重化するリアル―心と社会の解離論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 229p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422866
  • NDC分類 493.74
  • Cコード C0111

内容説明

解離性障害や離人症は何らかのトラウマが原因だとされるが、キレる子供の精神病理や多重人格的な振る舞いの背後に、明確な因果関係を見出すのは難しくなっている。そうした現象を正確に理解するには、IT技術の進化と普及によって急速に変貌しつつある社会自体の診断が欠かせない。不安定化する現代社会を背景に、希薄な現実感や当事者意識の困難さにとまどう現代人の心理現象を読みとく。

目次

第1章 変容するリアリティ―離人感覚が蔓延する
第2章 リアリティを取り戻したい―自傷・ピュア願望・出会い系
第3章 心が解離していく―トラウマなき多重人格
第4章 ボーダーライン時代のカリスマ――「イメージ」と「個」
第5章 多重化するリアルの行方―テロ事件が扉を開く?
第6章 これは日本のリアルなのか?―二〇〇五年の風景より
第7章 「自分」が分割される―ポストモダン心性について

著者等紹介

香山リカ[カヤマリカ]
1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、帝塚山学院大学教授。豊富な臨床体験を生かして、現代人の心の問題を中心に、さまざまなメディアで発言を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

3
この本は香山リカの、一番まとまった代表作と言えるだろう。基本認識は大澤真幸などに近く、現実感が多元化した社会で、それへの適応として解離的な人格になったり、現実への逃避=暴力やポピュリズムへの傾斜が増えていくのでは、という話。いろいろな香山リカの単発著作の根幹にあたる認識が示されていて、他の著作を読んでから読むとこういうことを言いたかったのね、とスッキリする。しかし哀しいかなよくも悪くも、旧いサヨク的な権威主義、俗情を捨てきれず戸惑っているだけ、という印象もある2012/07/24

わ!

2
部屋の整理をしていて、出てきた一冊。今更ながらではあるのだが読んでみた。タイトルからして多重人格の話なのかと思ったが、多重人格の話は、ほんの書き出し程度で終わってしまい、あとは2001年〜2005年当時の世界情勢と、それに関する社会心理学から見た見解の様な意見が書かれている。当時を思い出しながら、書かれている世の中の「読み」が実際にはどのように動いたのかを考えながら読むと、読みの当たり外れがよく分かって面白かった。(種明かしされた後の手品を見ている様な感じの…ちょっとズルい読み方かもしれませんね。)2023/05/16

りょ

1
多重人格というより社会現象に踏み込んだ一冊だった。2013/05/21

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