出版社内容情報
生き残りをかけた、植物の進化を見つめると、その「強さ」の基準や勝負の方法は無限にあることがわかる。勇気づけられる、植物たちの話。
内容説明
サッカーの攻撃の戦術や、回転寿司屋さんが考えた効率化、同じようなことを、すでに植物たちがやっていた?植物たちが生き残りをかけて進化してきた過程を追いかけると、「強さ」の基準や勝負の方法は無限にあることが見えてくる。勇気づけられる、植物たちの話。
目次
第1話 スピード勝負を制したのは誰だ?
第2話 恐竜を進化させた植物
第3話 最高の仲間を作る方法
第4話 植物からの挑戦状
第5話 人類と単子葉植物の出会い
第6話 本当に強い者が勝つのか?
最終話 植物が大切にしていること
次に読んでほしい本
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わるかたわら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する著述や講演を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
90
最も進化した形である単子葉植物は、「草」という新たなスタイルに進化しました。そのため単子葉植物はほとんどが草です。その当時、恐竜の時代です。首の長い恐竜から首の短いトリケラトプスが誕生しました。裸子植物は、被子植物に進化しました。同時に「花」を手に入れました。700万年前に人類はイネ・コムギなどの単子葉植物のタネを食べるようになりました。植物にとっての強さとは、たくさんの種類がある方が強いということです。みんなが違うことが強いということ。いろんな個性を持っています。あなたにはあなただけの個性があるのです。2021/12/25
モリー
67
学校の授業はつまらないと思ったことはありませんか。私はそうでした。テストで良い点数を取るための勉強法や記憶術を学び、試験は常に満点を目指していましたが面白くなかったのです。この本には中学生の理科で習う植物の分類が登場します。ここで、教科書をなぞるだけだった私の勉強の成果を披露しましょう。植物は、裸子植物と被子植物とに分類され、被子植物は単子葉類と双子葉類に分かれる。単子葉類の葉の葉脈は平行脈で…。それがどうした!って言いたくなります。この本は学ぶことの真の楽しさを教えてくれます。お勧めです。2022/07/18
モリー
44
感想を書こうとしたとき、ようやく再読だったことに気付いた。読むタイミングによって、響く部分はだいぶ違うものだ。生物は進化し続けるけれど、最も進化した者が他を蹴散らすというもので必ずしもない。古いシステムにも良さがあり、それを活かせる場所では、むしろ後から出現した者より古いタイプの者が有利であることもある。人間は、他の生物種を駆逐し、絶滅させる力を持つ地球上最も危険な生物かもしれない。強さってなんだろう。植物の世界にはたくさんの強さがあり、たくさんの勝負の仕方がある。「たくさんの種類がある方が強い」そして↓2024/09/01
さく
18
ちくまQブックス、初めて読んだけど面白かった!!小学生高学年〜中学生くらいを対象にしてるのかな?わかりやすかったし、大人でも植物について学べて楽しかった!植物の進化を、最後は人間の多様性に結びつけるラストがいいな、と思った。「生物は、必要のない『個性』は持ちません。私たちの性格や特徴に個性があるということは、その個性が人間という生物種にとって必要だからです」目の数に個性はいらない。だから、人間の目は二つだ。でも、顔の形や性格はみんな違う。必要な個性。このシリーズの他の本も読んでみたい!2024/06/30
Y
15
植物、おもしろい!雑草すら今現在こうして存在していることに理由があって掘れば掘るほどおもしろい世界だと思った。特に印象に残ったのは古い種類の裸子植物が、新しい種類である被子植物より劣っているとか進化が遅れているわけではなくて、それぞれが自分の強みをそれぞれ発揮できる場所を見つけているのだという話だ。知らず知らず、違う種類の植物を比べてどちらが優れているか考えている自分がいたと気づいた。「いろいろある」ということに価値があるらしい。植物に学ぶことはたくさんある。なんていったって人類の大先輩なのだから。2023/12/15