内容説明
日本では律令制下の五色の賎に始まり、中世以降近現代に至るまで、人の死や死牛馬の処理に携わる人びと、諸職人、下層宗教者、芸能者等差別を受ける多くの民衆が存在してきた。賎民研究の先駆者で第一人者であった喜田貞吉は、被差別民の起源と変遷を歴史学的アプローチによって考察する。賎民研究の名著『賎民概説』に「牛捨場馬捨場」、「放免考」、「旃陀羅考」、「濫僧考」、「濫僧考補遺」、「特殊部落ということについて」の6編の関連文献を併録した決定版的入門書。
目次
賎民概説
牛捨場馬捨場
放免考
旃陀羅考―日蓮聖人はエタの子なりという事
濫僧考―河原者・坂の者・宿の者・非人法師
濫僧考補遺
特殊部落ということについて―まず部落としての集団的取扱いを廃せよ
著者等紹介
喜田貞吉[キタサダキチ]
1871‐1939年。徳島県生まれ。歴史学・考古学・民俗学。京都帝国大学教授。東北帝国大学国史学研究室講師。アイヌ・蝦夷研究、法隆寺再建論、被差別部落研究の先駆者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュリ(村上)
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語るような独特な記述が特殊で、読み物としては魅力的だが、全体として論理的に理解するのは難しい。被差別の根源が肉食にあるということは繰り返し述べられるが、その一事で苛烈な差別感情が生まれるものだろうかと疑問も感じる。穀物を乞うために祝言を述べていた河原者の人が顧客を維持するために節を付けたり舞をしたりして遊芸者になっていったなど興味深い記述も見られ、勉強になった。2022/03/20
さっちゃん
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賤民の歴史について細かく書いてある。賤民というものは流動的なものであり、これからは部落などというものに縛られずに個人として身を立て生きていくべきだという内容。肉食忌避が無くなった今、差別する理由も確かに無いわけだ。