出版社内容情報
ごまかし、でまかせ、いいのがれ。なぜ世の中、こんなものがみちるのか。道徳哲学の泰斗がその正体とカラクリを解く。爆笑必至の訳者解説を付す。
ハリー・G・フランクファート[フランクファート,ハリー・G]
山形 浩生[ヤマガタ ヒロオ]
内容説明
その場しのぎの言いのがれ、ふかし、ごまかし、はぐらかし―政治で、メディアで、社内会議で、「そんなウンコな!」と思わずうめいてしまう、そんな屁理屈のかずかずが、なぜこんなに蔓延しているのか?世にみちみちるその正体を暴き、つぎつぎ繰り出されるカラクリを解く。米国が騒然となった怪著にして大ベストセラーの翻訳。訳者・山形浩生による爆笑必至の解説をたっぷり付けて一冊にしたものに、さらなる文庫版解説を付して文庫化。
著者等紹介
フランクファート,ハリー・G.[フランクファート,ハリーG.] [Frankfurt,Harry G.]
1929年生まれ。プリンストン大学名誉教授、道徳哲学
山形浩生[ヤマガタヒロオ]
1964年東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。経済、文化、コンピュータなど、広範な分野で評論、執筆、翻訳活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまご
15
ええ、ええ、訳者山形さんのおっしゃる通り、「ウンコ?」にひかれ、「でもちくま?」で興味を持ち、でもすみません、図書館で手に取りましたよ。 哲学者がウンコをこねるとこうなるのだなあ。しかもプリンストンの名誉教授。きっとウンコにも、表現型がいろいろあるのですね。日本のメディアや永田町にあふれて流れないものとはひとくせもふたくせも(くせ→味にしてはいけませんね)違います。 高尚な本文に、秀逸な訳者解説。山形さんの語り口にはまりますよ!2019/11/09
ラウリスタ~
13
本というよりも、短いエッセイ。それに同じくらいの分量の訳者解説というなの文章をつけている。すぐ読み終えられるから暇つぶしくらいにはなるが、そんなに面白くはない。嘘つきは、自分の話すことの真実性という問題について少なくとも意識的であるが、「ウンコな議論」つきは自分が真実を話しているかどうかなどどうでもよく、自分がそのうまく生成された「ウンコ」によってどのように周りに見られるかということに関心がある。アメリカでは小学生でも自分の意見を持っているというが、その風潮こそが知りもしない物事への「ウンコ」を生む。2017/04/23
Ryo
11
朝のワイドショーに出てくるコメンテーターの話だなーと思った。真実に目を向けることもなく、自分の認識すら危ういウンコな議論屋。正直者も嘘つきも、真実を認識するからこそ正直者だったり、嘘つきだったりできる。しかしウンコな議論屋は、周りの空気を読んでその場しのぎに発言する。そんな彼らの言葉は浅はかで、何の意味も持たない。本書でいう「息を吐き出した以上の情報は伝達されない」の一言が痛快。その象徴こそが朝のコメンテーターだろう。ニュースが流れれば、どういう回答が期待されているかだけを気にして、適当なコメントを返す。2019/03/14
まこ
10
「ウンコ」だのいらない議論だのわかりやすい単語がちりばめられているけど中身は難しい。訳者の解説で作者のことや書いた背景も説明したおかげで、ウンコ議論とは相手ではなく自分で自分の言っていることに納得させるために強引さや嘘を交えたものだと自分の中で納得させることができた。2020/05/16
人工知能
7
On Bullshit。著者は哲学者。ウンコな議論=屁理屈とかごまかしとかはったりという意味で使われていて、嘘というのは真実だったり嘘をつく本人の心情を意図的に捻じ曲げるものだけど、屁理屈というのはそういう意図すらなく真実というものを重視すらしていない。そういう議論が蔓延っている現代では、「正しさ」よりも「誠実さ」が重視されがちなのだけど、本質はあくまでも「真実」。自分がウンコな議論をしてたり、ごまかしてたり、真実に裏付けされていない単なる意見を述べているだけだったりしないよう戒めとしたい。2017/05/02