出版社内容情報
北宋時代、総勢九十七名に及ぶ名臣たちの言動を大儒・朱熹が編纂。唐代の『貞観政要』と並ぶ帝王学の書であり、処世の範例集として今も示唆に富む。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中島直人
14
遼、西夏と外に脅威を感じていた宋という国の現実が垣間見られるという印象。ただ、違和感という程ではないのですが、いまいちしっくりこない、腹落ちしない。建前論、あるべき論であることが見え過ぎてしまうのか。2017/01/10
wiki
11
臣のあり方を学ぼうと手に取る。しかし朱熹が気合を入れて編纂したものではない、と冒頭の解説に記載あり、しまったと残念な思いで読了。訳文は平易に過ぎて、書き下しと比してちょっと意訳しすぎではないか、とも。一方で梅原氏の補足がたまにあり、現代中国にいかに反映されているかを語る場面多く、そこは面白い。「書不可不成誦、或在馬上、或中夜不寝、時誦其文、思其義、所得多矣」336p、司馬光。「聖賢之学、非造次可成、須在積累、積累之要、在専与勤」419p、王巖叟。学問で成り上がる世界。その学びに対する言葉、背筋が伸びる。2023/06/06
isao_key
9
本書は1986年に刊行された『中国の古典宋名臣言行録』を底本とし、誤りを正し文庫化されたもの。最近ちくま学芸文庫は、かつての(絶版)古典を新たに出版し直しているが、とてもいい試みだ。本書も2015年12月に発行、翌月に2版となっていて古典に対する需要があることがうかがえる。裏表紙に『宋名臣言行録』は、北宋百五十年における名臣たちの言動を集録したもので、唐代の『貞観政要』と並び立つ書である、と書かれている。ただ読んでみて内容的におもしろいものは少ない。欧陽脩、王安石、蘇軾については多くページを割いている。2016/05/02
tharaud
6
北宋の官僚たちの味わい深いエピソード集。故事に学ぶということを昔の人々はしてきた。ネットニュースや流行りのビジネス書を読むよりゆっくりこれを読んだほうがいい。精神安定作用がある。2023/02/12
Ohe Hiroyuki
6
朱子がまとめた宋の名臣とされた人々の言行録集である。原書は、この10倍くらいあるが、登場人物は、ほぼ原書の人数が採録されている▼臣下それぞれの人生の様子や、生き残るための処世術も垣間見える。北宋では科挙に合格した進士が、士大夫として活躍することが知られているが、臣下の人生を通してそのような国家体制の姿も垣間見える。▼それぞれのエピソードが一文でまとめられており、後から読み返しやすい工夫がなされている。手元に置いてよい一冊である。2022/08/28