出版社内容情報
ノーベル賞物理学者益川氏とiPS細胞で全世界の注目を集める山中氏の知的刺激に満ちた対論。世紀の発見、その時脳内で何が起きるか。
内容説明
トップクォークの存在を予言しノーベル賞を受賞した物理学者と、二十一世紀最大の偉業といわれるiPS細胞の生みの親。世界が注目する二人が初めて語り合った。大発見はどうやって生まれるか。生命の神秘はどこまで解明できるのか。考えるとは、感動することだ―。
目次
第1章 大発見はコロンブスの卵から
第2章 「無駄」が僕たちをつくった
第3章 考えるとは感動することだ
第4章 やっぱり一番じゃなきゃダメ
第5章 うつと天才
終章 神はいるのか
著者等紹介
益川敏英[マスカワトシヒデ]
1940年愛知県生まれ。名古屋大学理学部卒業、同大学院理学研究科修了、理学博士。京都大学名誉教授、京都産業大学益川塾教授・塾頭、名古屋大学KMI研究機構長。2008年「CP対称性の破れ」の起源の発見によりノーベル物理学賞受賞。同年文化勲章受章
山中伸弥[ヤマナカシンヤ]
1962年大阪市生まれ。神戸大学医学部卒業、大阪市立大学大学院医学研究科修了、医学博士。京都大学iPS細胞研究所長。世界に先駆けてマウスおよびヒトiPS細胞(人口多能性幹細胞)の樹立に成功し、再生医学に新たな道を切り開いた。2009年ラスカー賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
169
人間幸福の正体に近づいた心地。大変な良書。特に益川さんの言葉が心に残る。山中・益川の座談だからこそ紡がれ、言葉として表現できた貴重な思考。セレンビリティーを否定し、尽きない努力が成功に近づくとする。しかし、努力だけでは大きな仕事はできない。それには、明確であるが非常に柔軟な目標を常に射程させる必要があると解く。達成には他の人の協力が必要だとし、そのため、どんな仕事の成果もシンプルにまとめ、自分以外に理解させる技術も不可欠だと提案。そして「我々人類は、もっと謙虚に科学の謎に向き合わなければいけない」と結ぶ。2021/11/10
ehirano1
94
#タイトルが仰々しくないかい?と思いましたが、読んで納得。#読むとなぜか元気が出ます。#山中先生の赤裸々な話は実は本人のドライビングフォースになってる(と思います)。#世紀の発想はお風呂場から。#終章は圧巻!この章だけで飛びぬけています。2019/10/13
ehirano1
90
山中先生「偶然の出会いを運命に変えられるかどうか、それは本人次第」、益川先生「そう、一見無駄な事が大事なんですね」。よく『無駄だ』とか、『そんなこと意味がない』という言葉にうんざりしている私を励ますようなお二人の会話でした。まあ、最近は「無駄」とか「意味がない」とかいう輩には、「本質がわかってないからそういうことしか言えないんだろうなぁ」と冷めていますが・・・・・。2025/04/15
ehirano1
82
山中先生曰く、ある目標に向かって真っすぐ突き進む「直線型の人生」と一旦やり始めたことでもダメだと思ったら違うことをやり、もっと面白そうなことがあればそちらに方向転換するクルクル回転する「回旋型の人生(≒フレキシブルな人生)」があるとのこと。どちらが良いとか悪いとかではなく、私は後者型だと感じた次第です。2023/02/14
かわうそ
76
★★★★★染色体の端っこにはテロメアというしっぽのような部分がある。テロメアがある長さまで短くなると、細胞はそれ以上、分裂できなくなる。iPS細胞はそのテロメアの長さを長くできる。さらにiPS細胞はいったん分化した細胞をもとに戻す。細胞が初期化されない場合は、除いた遺伝子が細胞と初期化に必須の遺伝子である可能性が高いという考え方に基づいて検証していった結果、たった一年で、初期化に必要な遺伝子「オクトスリーフォー」、「ソックスツー」、「カーエルフフォー」、「シーミック」総称して「ヤマナカファクター」が見2016/10/10
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- 和書
- 「常識」の研究 文春文庫