出版社内容情報
「思考」という人間の基礎的な営みをめぐる考察から、論理学の基礎まで。大森哲学の精髄が、最も平明な文章で著された基本テキスト。解説 野家啓一
内容説明
日本を代表する哲学者が、人間にとってもっとも基本的な営み「思考」と「論理」をやさしく、かつ、深く解説した入門書。「明日は晴れか晴れではない」―この命題が必ず真だと言えるのはなぜなのか?そもそも「論理的に正しい」とはどういうことなのか?豊富な具体例を通じて論理学の基礎を明快に説く。自分の頭で筋道立てて考える力を完全伝授する珠玉のテキストブック。
目次
概説的序論
思考とは?
思考と言語
論理とは?
言語規則から論理を導く
述語論理
異なる言語に異なる論理?
論理的必然性
古典的三段論法
思考の論理性
形式化とコンピュータ
人間・脳・コンピュータ
言語と世界
論理と世界
著者等紹介
大森荘蔵[オオモリショウゾウ]
1921‐97年。岡山県生まれ。1944年、東京大学理学部物理学科を卒業し、技術見習尉官として海軍に入隊。戦後、哲学を志し、東京大学文学部哲学科を49年に卒業。数度のアメリカ留学を経て、東京大学教養学部教授(科学史・科学哲学科)、放送大学教授を歴任。哲学者として独自の哲学を打ち立て、多くの後進に多大な影響を与えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
36
両者の関係は言語を仲介とした関係(019頁)。言語とは通信のため、自分が自ら知覚できない状況についての情報をやりとりするためのもの(036頁)。言葉を使う、やりとりをする、ということには言葉の意味規則に従うということが既に含まれている。その規則を守らなければ言語使用が成立しない(116頁)。三段論法:大前提 すべてのFはG。小前提 すべてのGはH。これら前提から、結論 すべてのFはH(118頁)。明らかになったこと:⑴思考は必ずしも言語化されてはいないがその思考経験の想起にあって言語的思考となる。2016/02/21
fishdeleuze
25
大森自身著書の中で「論理についての論書(メタ論理)であって論理学の教科書ではない」と書いているように、本書は論理学の基礎は扱うものの、むしろ大森哲学を語るために論理学を手段として援用しているかのようだ。思考とは何か、論理とは何か。それらは言語を仲介した関係であること(そして言語化される以前のものは論理とは関係がない)、いったん言語化した思考は、言語の規則から自動的に論理に適合するはずであるという「言語規則説」。→2016/01/27
ichiro-k
21
理解せず。読了ならず!2015/12/06
弥勒
11
「論理学は言語規則説から導出される」といふ観点から「思考と論理」について書かれてある。まず「思考」を「想念」や「思ひ」などのように広く定義した上で、〈思考は必ずしも言語化されてはいないがその思考経験の想起にあって言語的思考となる〉(p127)と結論してゐる。そして、言語は言語規則に従つてをり、その言語からなる論理は〈その言語規則...から導出されたものである〉(p127)と結論を下してゐた。そこから、言語と実在世界との関係を考察し、言語の働きを〈無意味な世界に人間的意味を与えること〉(p170)とした。2017/01/25
大道寺
7
大森荘蔵の著作は色々積読しているはずだが、実際に読んだのはこれが初めてかもしれない。元は放送大学のテキストであり、中学か高校でやった論理の基礎があれば読むのは難しくない。日本語を例にとって言語規則説により論理を導いていく。論理学の本ではなく、大森が論理学の哲学をやっている本。私としては後者を期待して積んでいたので問題なし。2017/06/03