出版社内容情報
哲学はプラトン抜きには語れない。近年の批判を乗り越え、普遍性や人間の生をめぐる根源的な思索者としての姿を鮮やかに描き出す画期的入門書!
内容説明
真理を絶対視せずに普遍性を思考することは可能か。プラトン思想の新たな展望を拓く画期的入門書!独自の切り口からプラトン思想の核心とその現代的意義を明快に説く。
目次
序 反=プラトンと現代
第1章 哲学のはじまり(「普遍性」について;「原理」「概念」「パラドクス」 ほか)
第2章 ソクラテスからプラトンへ(プラトンとその時代;ソクラテスの裁判―「魂への配慮」 ほか)
第3章 イデア(絶対イデア主義について―『パイドン』;「三角形のイデア」と「諸徳の対立」―認識の普遍性とは ほか)
第4章 エロス、美、恋愛(恋(エロス)の「本質」とは?―『饗宴』その1
美の「ほんとう」について―『饗宴』その2 ほか)
第5章 政治と哲学の理想(「イデア説」のパラドクス―『パルメニデス』『ソピステス』;プラトン言語思想の核心―『テアイテトス』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
25
西洋史への理解を深めることを目的にまずはプラトンから読むことにしました。別の本で概要と哲学史の大まかな流れを読んでいたおかげで割と苦もなく読めました。難しい用語が出てきますが煙に巻くような書き方ではなく著者の問題意識を絡めつつ出来るだけ分かりやすく配慮して書かれているので読み進めるうちにだんだん慣れてきました。プラトンの経歴、著作を時期別に分けて解説、最後にプラトン哲学が哲学史においてどんな位置付けなのかを書いているという構成も非常に気に入りました。2021/09/11
さえきかずひこ
6
第4章が抜群に面白くて魅了されたが、理解したとは言えず。類書に当たりつつ、再読したい本。2017/01/09
スズツキ
5
プラトンよりもソクラテスやアリストテレスに詳しくなる1冊。版権元のちくま新書の哲学入門シリーズ全てにいえるが、結構高度な内容である。『国家』あたりは読んでおくと理解が進むが、それではたして入門と言えるのかしら。2015/08/11
itosan04
4
あまり厚くはない本だけど、中身はぎっしり詰まった1冊。プラトニック・ラブの語源の考察部分だけでも非常に面白かった。プラトンは哲学者の中の哲学者だと思っていたけど、「純愛」の故郷でもあったというわけか。それと竹田青嗣の理路整然さもすごい。難解な概念をわかりやすく書こうとする名人ではないだろうか。2016/04/01
刳森伸一
4
哲学の本道を「絶対真理への探求」ではなく、「普遍性(共通了解)を得るための方法」と看破し、その源流をプラトンに見る。プラトンの入門書ともいえるが、作者のいわゆる「竹田現象学」の入門書ともいえる。哲学が論理のお遊びではないことを教えてくれる良書である。2015/06/17