内容説明
聖書の信仰と理性の自由は果たして両立しうるのだろうか―。17世紀、「自由と寛容」を掲げた共和国オランダで、スピノザはこの難問を考察し、『神学政治論』を出版する。だがこの著作は、キリスト教会から「前代未聞の悪質かつ冒涜的な書物」と罵られ禁書とされたばかりか、当時最もリベラルであったデカルト主義者たちからも危険視された。人びとはこの書物の何を恐れたのか。その大いなる逆説をもってスピノザが説いたことは、本当は何だったのか。スピノザ研究の第一人者が、『神学政治論』の謎を、平明な語り口であざやかに読み解く。
目次
1 『神学政治論』のエッセンス(『神学政治論』は何をめぐっているのか;敬虔の文法;文法とその外部;『神学政治論』の孤独)
2 分析と論争的読解(信仰教義をめぐって―スピノザと敬虔の文法;預言の確実性をめぐって―スピノザの預言論;教えの平凡さをめぐって―スピノザの共有信念論;契約説をめぐって―スピノザにおける社会契約と敬虔;奇蹟と迷信をめぐって―スピノザの奇蹟迷信論)
3 『神学政治論』と現代思想(アルチュセールのイデオロギー論とスピノザ;ネグリのマルチチュード論とスピノザ)
著者等紹介
上野修[ウエノオサム]
1951年京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒、大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。哲学・哲学史専攻。山口大学人文学部教授などを経て、大阪大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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