ちくま学芸文庫
真珠湾収容所の捕虜たち―情報将校の見た日本軍と敗戦日本

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  • サイズ 文庫判/ページ数 365p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480095602
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0131

出版社内容情報

流暢な日本語を駆使する著者の「人間主義」は、「戦陣訓」の日本兵をどう変えたか。戦前・戦後の日本および日本人の、もうひとつの真実。

内容説明

ホノルル捕虜収容所に、べらんめえ口調で日本人捕虜たちの度肝をぬいた海軍将校がいた。宣教師の家に生まれ、14歳まで日本で過ごした彼は、捕虜からの情報収集を担当する。アッツ、ガダルカナル、サイパンの「玉砕」。犬も鼠も食べ尽くした地獄さながらのマーシャル諸島。しかし「人情=人間主義」は国や立場を超えるという信念のもと、まず日本兵の階級意識を破壊し、捕虜は恥ではないことを徹底して説く彼の姿は、やがて捕虜たちの自発性を促す。本土に撒かれた「ポツダム宣言」の和訳のビラは、国を想う彼らの協力で生まれた。敗戦後は日本の民主化に努めた。

目次

第1部 戦争(学徒兵;“ズーズー湖畔の宿”;緑の島サイパン ほか)
第2部 日本進駐(“マッカーサーに頼め”;大っきなニコニコ顔;そうねぇー ほか)
第3部 日本の若い者(あの道再び;漫画教育;パリパリ会 ほか)

著者等紹介

ケーリ,オーテス[ケーリ,オーテス] [Cary,Otis]
1922‐2006年。小樽に生まれ、14歳でアメリカに帰国する。1942年、米海軍日本語学校に入学。情報将校として戦場に赴いたあと、ハワイの捕虜収容所長に就く。日本人捕虜の処遇改善や日本語宣伝新聞の編集などに当たった。1947年、アーモスト大学から同志社大学に派遣される。以後、半世紀近く同志社アーモスト館の館長を務めたほか、国際文化会館理事としても日本の国際化に貢献した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Toska

15
著者はアメリカ人宣教師の子として小樽で生まれ育ち、日本語を完璧に操り(本書も訳ではなくそのまま書かれた。名文)、戦時中は米海軍の情報将校として日本人捕虜を担当した。このユニークな経歴もさることながら、彼の人柄に強く惹かれる。日本に対しては愛郷心に近い強烈な愛情を持ち、だからこそこれを倒し、再建したいという熱い願い。執筆時(1950年)弱冠28歳、若さゆえの青臭さも感じられるが、そこがまたいい。日本人を愛しつつ、その権威主義や思いやりのなさといった弱点を容赦なく指摘し、共に悩もうとする様は感動的ですらある。2024/06/04

ふらん

11
資料として読む。ハワイに収容された日本人捕虜の監督者になったアメリカ軍情報将校の話。キレのいい江戸弁で日本兵の心を掴み、情報を聞き出すだけでなく捕虜たちのカウンセラー的な役割も担った。何か、映画化できそう。2015/05/02

勝浩1958

7
敗戦後に、日本の民主化という大きな夢(目標)が持てたことは、今の日本人からすればある意味羨ましい気がします。もちろん戦後の生活はゼロからのスタートであり、市井の人々は飢餓の恐怖やインフレに苦しんだのは事実であるのですが。さて、今の日本ではこのような大きな夢を抱けるのでしょうか。金持ちになって贅沢な生活がしたいと思っている人がほとんどでしょう。決してそのことを否定する気持ちはありませんが、わたしは、ほんとうの幸せって何なんだろうって思って毎日を生きています。2013/09/05

まると

4
小樽で生まれ育ち、米国側から太平洋戦争に参加、その後占領軍の一員として再来日を果たす。山崎豊子「二つの祖国」の米国人バージョンのような数奇な人生を送っている。こんな人が本当にいたのですね。祖国・日本に本当の民主主義が育つことを願い、戦時中は捕虜たちに、戦後は学生たちに情熱を注ぐ姿は一本気で感動を覚える。戦後間もない日本の庶民生活、軍国主義の名残がある日本人気質などを観察する目線が鋭く、読み物としても面白い。2018/12/16

Meistersinger

4
小樽生まれのケーリ氏が日本人捕虜を管理した後、終戦後の日本で交流するという本。ある意味「洗脳」の顛末でもある(もちろんケーリ氏にそんな意図はなく、善意から捕虜たちと戦後日本を自由で民主的な方向へと導いているだけなのだけど)。収容所内での自由民主主義的な気運と、終戦後の日本での「変わらない現実」が描かれている(国際社会の現実に日本が巻き込まれていくことを予見して物語は終わる)。2015/07/11

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