出版社内容情報
日本仏教史上最も雄大な思想書。無明の世界から抜け出すための光明の道を、心の十の発展段階(十住心)として展開する。上巻は第五住心までを収録。
内容説明
日本仏教史上もっとも雄大な思想を展開した空海の主著。新校訂の読み下し文と、適切な語釈、理解しやすい現代語訳によって構成。本能のままに生きる人間のありかたから、やがて道徳心が芽生え、素朴な宗教心につながり、仏教と邂逅、そして密教へと向上していく精神のありかたを、心の十の発展段階(十住心)として体系的に説く。そしたまた、儒教・道教・仏教・インド思想など、当時知られていた、世界のあらゆる思想や宗教を摂取して位置づけ、奥深い秘密曼荼羅法教(密教)の玄妙なる旨趣の真の意味を解明する。上巻は、本能的人間の第一住心から、小乗仏教の世界の第五住心までを収録。
目次
帰敬序
大綱序
異生羝羊住心第一
愚童持斎住心第二
嬰童無畏住心第三
唯蘊無我住心第四
抜業因種住心第五
著者等紹介
福田亮成[フクダリョウセイ]
1937年東京生まれ。東洋大学文学部仏教学科卒業。文学博士。現在、大正大学名誉教授。総本山智積院・智山専修学院院長。川崎大師教学研究所所長。種智院大学客員教授。真言宗智山派成就院長老(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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記憶喪失した男
7
神秘的で、書き下し文はぜひ参考にすべき名文である。国語辞典の仏教用語にあるようなことばの解説が書いてあることが多い。名文、名単語が多いので、仏教に格好いい単語を探している人はこれを読むといいだろう。弘法大師の文というものをこれで読むことができる。2016/09/27
Po
1
「秘密曼荼羅十住心論」の前半が収録されている。1番印象に残ったのは王の在り方である。リーダーシップとは何かを当時の考え方で書かれているのが面白い。いつの時代でも人を大切にし、敬い、輝かせる人がリーダーになりうるのだろう。空海は、密教への道が、リーダーを育てていくことを望んでいたのかもしれない。2019/12/08
ハヤカワショボ夫
0
空海コレクション第3弾。前2巻の宮坂先生でしたが、今書から4弾まで福田先生が「秘密曼荼羅十住心」を解説されています。前半の五住心で人が本能に従った生き方から道徳心を経て仏心の芽生え、今回は声聞・縁覚の小乗までを説いています。それぞれの住心について引用する文献から深く掘り下げて解釈を加えられ、書で曼荼羅を表現している空海の異才さを感じます。松岡正剛さんが「最初からドカッと書いて尻すぼみになってくる」というのがこの本を読んでいると分かる気がします。九顕一密でなく今書の九顕十密の方がしっくりきます。【家】★★★2015/05/10
ボタン
0
分厚い本だが、各項目の原典にあたると、とんでもない分量になる。むしろ「弘法大師が、仏教上の重要10トピックについて、文献を引用しつつ、コンパクトにまとめてくれている」とも言える。しかし、哲学的な内容を含むので、素人が一読しただけでは、必ずしも内容が頭に入ってこない。現代語訳を読み、語注を読み、原文を読み、現代語訳を読み直しつつ読書メモをまとめる過程で、抽象的な内容を含む箇所も、いくらか理解できる。声聞と縁覚の違い。前者は習い、後者は自力、だけど。前者は「四聖諦」で、後者は「十二因縁」だと、この本で知った。2024/02/22
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