出版社内容情報
中国清代の怪異短編小説集。仙人、幽霊、妖狐たちが繰り広げるおかしくも艶やかな話の数々。日本の文豪たちにも大きな影響を与えた一書。
内容説明
妖艶な美女やいたいけな少女に化けた妖怪、狐、狸、鬼たちと、いずれもまじめな主人公たちが繰り広げる、艶やかで面白おかしい物語の数々。中国怪異文学の金字塔。全446篇のうち特に面白い35篇を精選し、中国語原文の雰囲気を残しながら、独特のルビづかいで読ませる柴田天馬の名訳・玄文社版(1919年刊)を文庫化。
目次
王成
成仙
陸判
侠女
瞳人語
聶人倩
阿宝
竹青
嬰寧
嘉平公子〔ほか〕
著者等紹介
蒲松齢[ホショウレイ]
1640‐1715年。山東省の名家に生まれる。神童として知られたが、科挙の試験には失敗。教師などをしながら糊口をしのいだ。20歳から小説を書きはじめ、40歳の時に『聊斎志異』を完成させた
柴田天馬[シバタテンマ]
1872‐1963年。鹿児島県生まれ。中国文学者。『聊斎志異』の魅力にとりつかれ、翻訳を始める。1953年に『聊斎志異研究』を創元社から刊行し、1953年毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オザマチ
8
狐や鬼・仙人が多数登場する怪異文学だが、ところどころに儒教的な価値観が見えて面白い。親孝行に関する話などはその分かりやすい例だと思う。ルビの付け方が独特で、古典の学習を怠けた私でもあまり苦労せずに読むことができた。2014/11/08
unknown
8
独特のルビ遣いのインパクト。「異哉此女!(へんなこだね!)」「能令我真箇銷魂否(ぼくにひとりくれないか)」など、原文の形を残しながらも親しみやすい語り口で読ませるスタイルは実にユニーク(ただ、毎話の終わりに付いている蒲松齢先生のコメントまでは訳されていない)。入門の書としてのとっつきやすさや話の精選ぶりを考えると岩波文庫から出ている上下巻の方に軍配が上がるのだけれども、魅力に溢れる柴田天馬氏の対訳版は触れてみて損はない。活き活きとした語り口の面白さがより一層際立ってくるので、比較しながら読むのもまた一興。2012/07/14
SOLVEIG
2
お話しは面白かったけど、「少々背景とかに変化があるものの、似たようなエピソードが並んでるな――」というのが正直な感想。賢い美人嫁がどうしたこうしたよりも《婚姻》というものの考え方の方が気になった。だからって訳でもないけど、お気に入りは少々雰囲気の違う『蛇人』。手塚治虫の漫画に出てきそうな蛇キャラが頭に浮かんで、蛇たちが愛おしくなったりも。 が、本書の読みどころは物語自体よりも【訳文】の方じゃないかなと思う。解説にも詳しいように《ルビ》は凄く興味深いし、原文のせいだろうけど同音同意異字が多くて結構混乱した。2021/03/14
ハイちん
2
17世紀に書かれた中国の怪奇譚。和訳され本書の単行本が刊行されたのが1919年とあるから古典と言っても障りないのだが、そのわりにこの文庫版は読みやすかった。文字が大きいのと柴田天馬氏の訳が優れているからだろう。とにかくヒロインがかわいい。大概人間ではなく、鬼(あのよのひと・ゆうれい)か妖怪変化(狐・鳥)か天女か妖精か神かなのだが、なんかかわいくて好きだ。個人的に気に入った話は、金持ちになろうと思えばなれるのに頑なに清貧を貫こうとする男が主人公の「黄英」、ヒロインがかわいくラストが切ない「葛巾」です。2014/10/07
ABC殺人事件
2
やはり文体や字面が普段読む本とは違うため、読むのに苦労しました。当時の中国人の奔放さに時々笑ってしまいました。2013/05/23