ちくま学芸文庫
官能の哲学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 251p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480092182
  • NDC分類 701
  • Cコード C0110

内容説明

ゴダールと谷崎が描いた乳房の違い。バルテュスの画に見る緊張感漂う欲望。「欲望とは脱我ではなく、「わたし」が欲望し、かつ欲望する「わたし」自身を同時に意識している」―著者は、性は修辞的にしか語りえず修辞は性的にしか実践しえないという空転する命題を提示して、現代のメディァ空間に棲息し、あらゆる葛藤や屈折の表象として立ち上がるエロティックな記号を炙り出す。さまざまな作品を引用し横断しつつ、映画、絵画、小説等から「表象のエロス」を掬い取り描き出す、意欲的論考。

目次

乳房が眼を閉じる―序にかえて
1 修辞的身体(´erotiques/rh´etoriques;インテルメッツォ―バルテュスの絵をめぐる ほか)
2 歴史の地平(電子的レアリスム;スクリーン―遮蔽と露出 ほか)
3 確率/イメージ/メディア(表象と確率;見えるものと見えないもの ほか)

著者等紹介

松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954年、東京生まれ。1980年、東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(表象文化論)。詩人、作家、映画評論家でもある。2000年、『花腐し』(講談社)で第123回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

18
裏表紙の紹介から思っていた中身が読んだら違っていたのでびっくりしました。文学や映画から見る官能というよりは表象論の考察です。しかし、メディアと表象の関係性、コンピューター・グラフィックで作るリアルな映画の撮り方による現実感の乖離への批判は結構、興味深いものがありました。2013/05/20

ぷらんとぱいん

1
蓮實重彦を想起させる、論考を形づくる文章の連なりそれ自体が論じている内容に寄って、停滞と表層をなぞるような独特のリズム。そして何よりエロに対する飽くなき探究心。インテリジェンスとド助平であることは矛盾しないのだ。2018/12/21

じめる

1
最近は順調な=大きな引っかかりのない読書をしていたが、これは満足のいく停滞を与えてくれた。表象とメディアについてはおそらく十分といえる理解はできていないだろうが、自分なりにこれから得たものとしては、文学を読むことはいかにエロチックなパンチラを模索するかなんじゃないかと。欲望は倒錯的なものであり、宙吊りにされる、引き伸ばされるものであるから。2013/05/27

sk

1
面白かった。2013/03/05

Kiyoko

1
松浦先生が、フランス文学について書かれた専門書。多少、読みづらいのは、否めない。難しかったけど、何とか読み切った。と、思ったら、面白そ〜って言う友人に貸し出して以来、帰ってきてない 苦笑。ちなみに私が読んだのは、岩波書店ハードカバーヴァージョンです。2012/12/28

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