ちくま学芸文庫
知についての三つの対話

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  • サイズ 文庫判/ページ数 330,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090829
  • NDC分類 404
  • Cコード C0140

内容説明

プラトンは観念と生活との間の深淵は対話で架橋できると考えた。対話は一般的かつ専門技術的双方の意味で哲学的であり、われわれがしっかりした基盤と信じてきたものの虚構的な性格を論証してしまうからだ。批判的合理主義的立場に対し、「anything goes」(何でもあり!)と相対的な立場をとる著者が贈る対話という知的営み。思考の盲点や偏見に陥ることなく客観的・経験的な妥当性から導き出される知への道を示し、犀利な分析と明晰な洞察による、研ぎ澄まされた批判を展開する。

目次

第1の対話(1990年) 知とは何か―プラトン『テアイテトス』を題材に
第2の対話(1976年) 科学とは何か―占星術、伝統医療をめぐって
第3の対話(1989年) 知恵とは何か―物語としての知

著者等紹介

ファイヤアーベント,ポール・K.[ファイヤアーベント,ポールK.][Feyerabend,Paul K.]
1924‐94年。ウィーン生まれ。天文学、物理学を学んだ後、カール・ポパーに師事。UCLAバークレイ校、チューリヒ工科大学などで教鞭を執る。多様な価値観の共存が科学や知の原動力であるとした。「好戦的哲学者」「知のアナキスト」と評された20世紀の最も独創的な科学哲学者の一人

村上陽一郎[ムラカミヨウイチロウ]
1936年、東京生まれ。国際基督教大学教授、東京大学名誉教授。専門は科学史・科学哲学・科学技術社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ヒダン

12
『テアイテトス』を課題本にしたセミナー形式と科学・合理主義者A氏vs著者の分身B氏の対話二篇。一つ目はそれぞれ異なる背景を持つ人々があれこれ言うのだが、なかなか話が噛み合っていかなくて議論ばかり踊る。著者の知性観を象徴的に表現しつつ、著者の主張を少し代弁させている。A氏vsB氏はB氏が非合理・非科学主義者として振る舞いA氏をコテンパンにやっつける。でも真の狙いは科学主義を否定することではなく非科学主義を知らない人が非科学主義を否定することを否定することである。自分の感性に近くて馴染みやすい考えだった。続く2015/10/27

ktytnd

3
ファイヤアーベントは極端な相対主義者だという批判が多い。しかし、彼の本当の立場(ファイヤアーベントはこの言葉に顔をしかめるだろう)は、合理主義者がともすれば抱きがちな、知識に対する硬直した考えなのではないかと、この本を読んで思った。2014/02/24

しーぽん

3
結局、「何でもあり」って開き直ってるだけなんじゃないだろうか。ファイヤアーベント自身は何でもありを否定する方向の議論だけは認めないようだけど、その根拠がよくわからない。未完成な理論なんじゃないだろうか。読み物としてはとても面白いし、一級品だとは思うけれど、哲学のあり方としては少し乱暴。2010/12/26

tunehiro

3
ファイヤアーベントの”思い”が三つの対話にしっかり詰まっているようだ。それぞれの対話は、あっちへこっちへフラフラと淀みなく一所にとどまらず、それでも何か「一つの芯」が通っている。Anything Goes.2009/02/13

ponkts

2
ジャック・ニコルソン、ではなかった、ファイヤーアーベントの著書のなかでは比較的分かりやすい本ではある。対話体を採用しており、なかでも批判的合理主義を徹底的に疑った真ん中のトピックは、科学知識に疎い人でもその過激な論旨自体を楽しむことはできると思う。ただ、著者は膨大な哲学・科学の体系的な知識に基づいたうえで Anything goes と主張している点には留意する必要がある。科学の優位性は「相手を説得できる度合い」が他の学問に比べて高いところにあるので、その合理性自体にメスを入れるとやはりアナキズムになる。2015/08/02

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