内容説明
優れた批評作品はすべて、ある神秘的な瞬間を、みずからの言語運動の原点として秘めている―批評対象の本質が、批判的感性により、批評の萌芽として直観される瞬間を。本書により、ベンヤミンの各論考間での照らし合いが、私たちの読みのなかで、飛躍的に増幅されるだろう。表現されていながら隠されている意味を発見するとき、それはすなわち、私たちの内部への“批評の瞬間”の宿りにほかならない。「ボードレールにおける第二帝政期のパリ」「ブレヒトの詩への注釈」をはじめ、初期の哲学的論考から同時代批評まで、ベンヤミンの思索を跡づけた新編・新訳の文庫版アンソロジー、第四集。
目次
雑誌『新しい天使』の予告
バルザック
シュティフター
シェイクスピア『お気に召すまま』
モリエール『気で病む男』
ショー『ウォレン夫人の職業』
パウル・シェーアバルト『レザベンディオ』
ゴットフリート・ケラー
ヨーハン・ペーター・ヘーベル(3)
新たな賛美者からヘーベルを守る〔ほか〕
著者等紹介
ベンヤミン,ヴァルター[ベンヤミン,ヴァルター][Benjamin,Walter]
1892-1940年。20世紀ドイツの最も異彩を放つ思想家・批評家。きわめて緻密で繊細な文体をもつ卓越した文章家。青年運動の只中で思想形成期を迎え、ユダヤ神秘主義、観念論的弁証法、マルクス主義的歴史哲学等の影響を受ける。激動の時代状況とアクチュアルにまたラディカルに切り結びながら、同時に近代もしくはモデルネの原史を見据え続けた。亡命行の途上でみずから命を絶った
浅井健二郎[アサイケンジロウ]
1945年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。九州大学大学院人文科学研究院教授、東京大学名誉教授。専攻、ドイツ文学
土合文夫[ドアイフミオ]
1950年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。東京女子大学文理学部教授。専攻、ドイツ文学
久保哲司[クボテツジ]
1957年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。一橋大学社会学研究科教授。専攻、ドイツ文学
岡本和子[オカモトカズコ]
1974年生まれ。東京大学大学院博士課程収修了。大東文化大学外国語学部専任講師。専攻、ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chanvesa
roughfractus02
ubon-ratchat