ちくま学芸文庫<br> サマルカンド年代記―『ルバイヤート』秘本を求めて

ちくま学芸文庫
サマルカンド年代記―『ルバイヤート』秘本を求めて

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 494p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480086693
  • NDC分類 953
  • Cコード C0122

内容説明

イスラーム中世の思想家にして天才的天文学者、そして酒の詩人として著名なペルシア人オマル・ハイヤーム。彼の青春は暗殺者教団の創設者ハサン・サッバーフとの出会いと決別、冒険や恋に彩られていた。そのなかで『ルバイヤート』(四行詩集)が書き綴られて行く。その手稿本はモンゴル軍のペルシア侵攻の際に喪失したと信じられていたが、何と、800年後のパリに浮上。その追跡のために青春を賭けた仏系米人(本書の語り手)がパリからイスタンブール、さらに立憲革命で動乱のペルシアへ。そして、その保持者だった王女と相思相愛の仲となり、結婚してアメリカに戻ろうと、乗ったのが豪華船タイタニックだった…。

著者等紹介

マアルーフ,アミン[マアルーフ,アミン][Maalouf,Amin]
1949年レバノン生まれ。ジャーナリスト、作家。祖国の内乱を機に76年、パリに移住した。『アラブが見た十字軍』(ちくま学芸文庫、牟田口共訳)刊行後は創作に専念、88年、『サマルカンド年代記』で新聞協会文学賞、93年、Le Rocher de Tanios(タニオスの岩)でフランス四大文学賞の一つであるゴンクール賞を受賞した

牟田口義郎[ムタグチヨシロウ]
1948年東京大学文学部卒業。朝日新聞中東、パリ各特派員を経て論説委員。82年に退社後は成蹊、東洋英和女学院各大学教授を歴任した。ほかに中東調査会常任委員、中東報道者の会会長などを務める
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

126
前半は、「ルバイヤード」を書いたオマル・ハイヤームの半生を。そして続くのは、副題にあるように「ルバイヤード」の手稿本を求めてアメリカ人のルサージがいかに生きたかだ。前半は11世紀で舞台はサマルカンド。後半は立憲革命の時のペルシャである。そして、ルサージはついにその手稿を手にいれるのだが…、それはタイタニックとともに海に沈んでしまうのである。そういう話を作者のアマンミアルーフが書いた。前半のオマルの話はエキゾチックで面白いのに、唐突に舞台がかわるのに唖然とした。タイタニックの話で、全てが嘘っぽくみえる。2017/02/18

NAO

74
オマル・ハイヤームが『ルバイヤート』を書き始めた11世紀頃のペルシャと、彼の『サマルカンド手稿本』の真筆が見つかった際の話の二段仕立て。前編もなかなか目まぐるしい動きがありペルシャの影の部分も詳細に描かれていたが、後編に描かれる19世紀から20世紀初頭のペルシャの様子もなかなか目まぐるしい。作者であるオマル・ハイヤーム同様、その自筆本もなかなか人騒がせなものだったということに驚かされた。2019/04/23

syota

31
【第65回ガーディアン必読小説1000冊チャレンジ】参加。前編は11世紀末のペルシャを舞台に、『ルバイヤート』で有名な万能の天才オマル・ハイヤーム、セルジュク・トルコ最盛期の大宰相ニザーム=ル=ムルク、暗殺教団創設者ハサン・サッバーフという実在の人物たちが活躍する歴史スペクタクル。フィクションではあるが、当時の政治、社会情勢や風俗が詳細に再現されているので、嘘くささはない。エキゾチックな冒険譚として素直に楽しめた。→2020/10/19

syaori

26
『ルバイヤート』の手稿本を巡る物語。オマル・ハイヤームが手稿本を作る前半と、米国人ルサージが手稿本を求めてペルシアに渡りイラン立憲革命に巻き込まれる後半に分かれています。ドキュメント調で進む物語は、手稿本の成立とそれが歴史に埋もれていくまでを描いた前半はもちろん、立憲革命にペルシア王女とのロマンスが絡む後半も、どこまでが真実でどこからが虚構か分からないリアルさがあって歴史へのロマンをかきたてられます。最後の米国行きの船の上での王女と手稿本の思い出は、東西が交差する独特のエキゾチズムと余韻がたっぷりでした。2016/07/25

Akihiro Nishio

22
色んな国に行った自分だが、次に行きたいのはサマルカンドと考えていた。なら読むしかないでしょう。前半は11世紀のサマルカンドの興亡が有名な詩人の視点で描かれ、後半はその手記を求めてイランを訪れたアメリカン人が、イランの立憲革命に巻き込まれ、やがて挫折し、王女と共にアメリカに渡ろうとするところでタイタニックの事故に遭遇するというスペクタクル。王女と結婚というくだりで、ようやくフィクションであったことを悟った(←ピュアな読者である)。前半も、女性詩人との恋愛、アサシン教団などと盛沢山で楽しめることは間違いない。2020/05/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/27811
  • ご注意事項