内容説明
人類にとって宗教的現象とはいったい何か、人類史という壮大なスケールのなかでその展望を企てた本書は、20世紀を代表する宗教学者・エリアーデが最晩年に遺した畢生のライフワークである。この古今未曾有の偉大な業績は、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教といった個々の宗教の理解を助けるばかりでなく、人類が創造した宗教そのものの姿を見事に描きだしている。文庫版第5巻は、トルコ人・モンゴル人・スラヴ人など、古代ユーラシア大陸の宗教、8―9世紀までのキリスト教会、ムハンマドとイスラームの展開、イスラームの神学と神秘主義、バル・コホバの乱からハシディズムまでのユダヤ教などを収める。
目次
第三十一章 古代ユーラシア大陸の宗教―トルコ・モンゴル人、フィン・ウゴール人、バルト・スラヴ人
第三十二章 聖像破壊運動(8‐9世紀)までのキリスト教会
第三十三章 ムハンマドとイスラームの展開
第三十四章 シャルルマーニュからフィオーレのヨアキムまでの西欧カトリシズム
第三十五章 イスラームの神学と神秘主義
第三十六章 バル・コホバの乱からハシディズムまでのユダヤ教
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
37
他の宗教と比較すると、イスラム教の強さが目立ちます。ユダヤ教、キリスト教以上の教えがあるということなのかもしれません。2022/12/11
塩崎ツトム
13
ユーラシアで広く行われたテングリ信仰の地理的豊穣さ。そしてイスラムの成立と、カトリック世界との激突。そして中世になるにつれ、イスラム・カトリック・ユダヤ教ではそれぞれ信仰の奥行きが発達していき、それぞれスーフィズムやカバラなどの神秘主義が発展する。その豊饒さは結局のところあまり豊かな交流を産まず、やがて次の時代へ。2025/02/05
roughfractus02
6
二足歩行から人間的環世界を形成した人類から始まった本書は、前足から進化した手を用いて旧石器時代の狩猟生活とシャーマニズムを発生させた。その後インド・ヨーロッパ語族の農耕とセム語族の遊牧に分岐する狩猟生活は、外に立つ時空を各々形成し、独自の宇宙論を口承から文字に移し替える。文字化した聖典は多言語に翻訳されて屈折し、多様な解釈と分派を生んで階層化する。ユーラシアとイランとインドの接触、東西のローマ教会の対立、ユダヤのカバラ、聖書を読むムハマンドの創始するイスラム教は、宗教体験の文字化の困難を抱えつつ拡散する。2021/07/04
Copper Kettle
3
どういうわけか冒頭に著者の写真なんかがあって、新鮮。この巻の最初は古代ユーラシア大陸の宗教で、いろんな民族における宗教の共通点が説得力をもって説明される。その後、キリスト教の聖像破壊運動に触れたあとでようやくイスラム教が登場、十字軍の話に進む。以前にもイスラム教や十字軍に関する書籍は読んだことがあるので軽く復習して、その後がまた分かったような分からないような、いや、だいたい分からない。密かに楽しみにしてたカバラーのところもあくまでも宗教史としての位置付けがメインなので。2023/02/07
いなお
1
やっぱりイスラームは面白いよなあ2016/09/07