ちくま学芸文庫<br> 『クオーレ』の時代―近代イタリアの子供と国家

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ちくま学芸文庫
『クオーレ』の時代―近代イタリアの子供と国家

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  • サイズ 文庫判/ページ数 287p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480084453
  • NDC分類 237.05
  • Cコード C0122

内容説明

1886年、北イタリアの本屋に一冊の本が並んだ。その本とは、デ・アミーチス『クオーレ』である。『クオーレ』はその年のうちに数十版を重ね、20世紀初めまでにミリオン・セラーとなった。『クオーレ』にこめられた愛国心・犠牲的精神の育成、学校・軍隊という国家装置への帰属意識の涵養は、19世紀イタリアの国民形成における―先進諸国から遅れをとっていたがゆえの―至上課題であった。『クオーレ』の各挿話のなかに映し出されたイタリア社会の現実(捨て子や煙突掃除の少年など)を生き生きと描写しながらたどる、国民形成の社会史。

目次

第1章 田舎王国サルデーニャのイタリア統一
第2章 『クオーレ』時代のトリーノ
第3章 「第二の軍隊」としての小学校
第4章 教育する軍隊、忌避される徴兵
第5章 武器としての小学校教科書
第6章 イタリア語はイタリアの国語になったのか
第7章 健全な精神は健全な身体に宿る
第8章 捨て子を許す社会、許されない社会
第9章 売られ、働かされ、管理される子供たち
第10章 時代を映す『クオーレ』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Saiid al-Halawi

5
完全な分権国家からリソルジメントを経て、後の全体主義的統制につながるまでのイタリア国民国家形成過程。軍隊生活の擬制としての学校教育は今でこそかなりの程度サンボリックになってるけど、この時期はガチだわ。ランドセルは背嚢である。2013/12/29

ユーディット

1
近現代イタリア史の第一人者藤澤房俊先生の良書。「母をたずねて三千里」はアニメにもなってフランス人も泣きまくるが、その話はイタリアの児童文学「クオーレ」に収められている。データを示しながら、イタリア統一後の子供達が置かれていた過酷な状況と、民族主義、帝国主義教育という問題を明らかにしている。まさに現代日本に通じる面があまりにも多く背筋の凍る思いだ。非常に平易に書かれているので一人でも多くの人に読んでほしい。2015/03/01

冬至楼均

1
国民国家とは?イタリアに見る国民形成の苦闘。同時期の明治日本との対比が興味深い。2009/12/30

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