感想・レビュー
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省事
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奉天総領事として張作霖相手に強引な交渉を展開、失敗に終わるも猟官運動により田中義一内閣の外務次官に就任、その後ムッソリーニ政権下のイタリア大使として満州事変を迎え、さらに2.26事件直後の広田内閣の外相候補に擬せられるまでと、もっとも吉田が縦横無尽に活動している時期を描いた巻。外交史料や個人文書に残る吉田自身の言葉を参照しながら大きな歴史の流れの中に吉田の行動を位置づけつつ、吉田が英米協調を重視するステーツマンという個性に脱皮していく様を詳述している。同時代人としての著者の言葉が挟まるのも理解を深める。2022/10/12