内容説明
フランス日本学の若き第一人者による画期的な日本論。日本語の構造、心のありよう、家族・企業などの組織原理、都市空間、土地利用など、日本文化特有の有機的な空間性を多面的に検証し、統一的な視座を提出する。外部からの光により浮き彫りにされる日本的空間の全体像。
目次
1 環境に置かれた主体―空間の精神的組織化
2 わがものとなった列島―空間の技術的組織化
3 国土の一体化―空間の社会的組織化
結論 日本的範列
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kakekoe
7
フランス語の原書は1982年刊行。「空間」という概念で日本文化にアプローチを試みる姿勢が興味深いです。日本語の特徴や、日本人の共同体や集団の歴史的地理的発展、その意識構造の流れ、またそれまでの日本文化論などが適宜引き合いに出され、つぶさに「日本文化」が検証されていきますが、自身は日本文化に関する断言を避けているようで「間」だったり「他者への共感」を尊ぶ日本人の感覚を、著者は既に自分の中に落とし込んでいるようにも思えました。それに比べると、巻末の隈研吾による解説はキレッキレで、これはこれで圧倒されます。2024/04/02
井蛙
2
空間とは主体と客体の関係性に他ならない。日本では特にこの関係性が非常に強固であり、個人と集団、文化と自然の別が非常に曖昧になっているという。これをベルクは場所中心主義とも読んでいる。こうした空間におけるコミュニケーションは記号によって一元化されることで理想的な状態が保たれる。肝心な点はこのようにして空間に現れてくる他者はあくまでも主体にとっての他者でしかないこと、全き他者は捨象されていることである。ではいまだかつて、あるいはこれからもけして到来することない他者に対して我々はどのように準備できるだろうか。2018/03/23
じめる
2
日本語は主体を実存的に喪失した言葉である。私に言葉が使われるとき、行為を行為者から引き離すことによって、敬意が表現される。という受動態。決定的に重要なのは細胞である。日本は大きな一つの家族を形成しており、それは隣を標準として、「国/家」となる。2013/07/25
Was
2
面白い。面白いけど鵜呑みにしちゃいけないタイプの本ですね。2010/07/17
katashin86
1
外国の人(この本の著者はフランス人)が日本社会について書いた本は、だいたい何を読んでもなるほど面白い、そのとおりだとなる。そのまま納得していいのかどうかはわからないが。2017/12/02