内容説明
レポートの役割は、事実や情報を取捨選択して整理し、それについての作成者の意見を加えて、読み手にわかりやすく伝えることである。そのためには、事実と意見を区別することを学ぶとともに、伝達手段としての言語技術の訓練が欠かせない。『理科系の作文技術』で話題をよんだ著者が、豊富な具体例をもとに、そのノウハウをわかりやすく説く。
目次
1 レポートの役割
2 事実と意見の区別
3 ペンを執る前に
4 レポートの文章
5 執筆メモ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
111
レポートというより論文のまとめ方を懇切丁寧に解説した一冊。資料の取集方法・ノートの取り方・分類法・データ抽出方法・文章の書き方・グラフ等の使用法など、レポート・論文を作成する必要事項がすべて揃っている。本書に随って書けば立派なものに仕上がるだろう。その分労力が必要でだが、何も知らず無駄足を踏むよりマシである。論文・レポートを書く上で必要なことはその論説が事実なのか、推論なのか、何かの仮説に基づいたものなのかをはっきりとさせることである。一番のダブーは推論の上に推論を積み上げることである。2016/10/12
佐島楓
49
本作を読んで、自分のレポートの問題点がはっきりとわかった。読んでよかった。2016/03/22
俊
19
同著者の「理科系の作文技術」を文系・若手社会人向けに書きなおした本。レポートを始めとした実用的な文章の書き方を解説している。自分が非理系というのもあるのだろうが、全体的に「理科系~」よりも取っ付きやすかった。解説も丁寧で分かり易く感じた。・読み手に対する配慮。・事実と意見の切り分け。・結論を先に書く「重点先行主義」。・明快で明確で簡潔な文章。・心情的な表現よりも、精選された事実の叙述。など、頭の片隅に置いておきたい。2015/07/09
テイネハイランド
13
わかりやすく論理的なレポートを書く際に求められる文章構成上の注意点などについて、著者の意見をまとめた本。とても大事なことが網羅されて手際よく書かれているのだが、同じ著者による「理科系の作文技術」と内容が重複しているので、この本で新たに得られる知識という点では若干物足りないものを感じました。著者自体は文科系の領域で論文を書いているわけではないので、どのような点に着目して実際にレポートを書けばいいかなど具体的なアドバイスに関しては、例えば、鹿島茂「勝つための論文の書き方」など他書をあたるべきでしょう。2017/06/10
すぎえ
11
『理科系の作文技術』の文科系学生向けに書き直されたもの。基本的なレポート作成の要素は同じ。レポートの構成及びその方法論、事実と意見の分離、明快な文章の作成方法などなど。レポートの評価方法が乗っているのは役に立ちそう。読者を意識してレポートを組み立てるのが重要で、そのためには自分の書いた文章を何度も確認しなくてはいけない。評価方法は自分である程度目的がはっきりとしているならば項目を検討するのはありかも、何度も評価することで意識しなくてはいけないポイントを発見できると『文章の評価』ツールの価値は大きいと思う。2009/06/23