内容説明
森へ子供を捨てる「ヘンゼルとグレーテル」、殺してしまう「白雪姫」…。子どもたちはどうしてこんなに残酷なグリム童話が好きなのだろう?リューティー、プロップなどの文芸学、さらにフロイト、ユングなど心理学の成果を縦横に駆使しながら、あくまで残酷で、この上もなく魅力的なグリム童話の人気の秘密を丹念にたどり、文学として総合的に論じた異色の童話論。
目次
1 グリム童話は残酷である
2 グリム童話は封建的である
3 グリム童話はナチスに通ずる
4 グリム童話は非科学的である
5 グリム童話は総合的である
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりん
2
サブタイトルやあとがき曰くグリム童話を子供に聞かせても良いのかどうかを親や教育者向けに解説した本という事になっている。構造はグリム童話への様々な批判を反論するという形式だが、その反論に傾注し過ぎるがあまり、本来の目的からは逸れている。グリム童話に関する民俗学的、文学的な様々な解釈を常識的に紹介するという点では、若干文章がわかりにくいものの優れている。目標に反して、専門的な学習・研究の入り口といった内容である。然し専門に学ぼうという人なら当然承知している本編の引用が多く、煩わしい。対象が絞りきれていない。2017/06/13
こみ
0
童話や伝説の分類の話は初めて知ったため興味深かった。が、「子どもに聞かせてよいか?」と聞いてくる母親への回答としては……どうだろう。2015/03/25
留々家
0
ナチスドイツの悪行をグリム童話に結びつける動きが戦後あったとか、そもそも純粋なドイツの昔話じゃなくてフランスの話もだいぶ混ざってるとか、そういう知らなかったことがあって面白かった2014/09/11
taka0805
0
講義のレポ書くために読んだ本です。「グリムは残酷」というイメージを持つ人はいますが、この本はそれを否定する内容になっています。グリムの昔話に登場する主人公は不幸な人間として描かれます、それをいじめる継母や姉は悪と言える存在で、ラストでは悪が罰せられ、不幸な主人公は幸福を得ます。現実では、決して悪が罰せられずに幸福を得て、悪ではない人が不幸に合う事があります。また、抽象的に物語を描くため、残酷な罰を受けていても、血が流れるとか、叫び声をあげるという描写は一切されません、話の筋を描くのに、必要ないからです。2012/07/12
チエコ
0
グリム童話の継母が意地悪なのは、子供の成長を促す酵素のような働きをしているから…とか、グリム童話の描写は確かに残酷な部分もあるけど、本当っぽく書いてないから大丈夫とか。とりあえず、一気に読めて面白かった!内容と関係ないけど、「ねずの木」の歌が好きだー。2010/12/07
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- 和書
- 今、問われる先生の条件